九州・山口における金融再編は、平成元年の西日本銀行と福岡シティ銀行の合併が口火となった。同年2月には熊本銀行と肥後ファミリー銀行が合併して「熊本ファミリー銀行」が誕生。平成15年4月に合併した九州銀行と親和銀行による「九州親和ホールディングス」も、平成19年10月にふくおかフィナンシャルグループに組み込まれた。
また平成16年5月にせとうち銀行と広島総合銀行が合併して誕生した「もみじ銀行」は平成18年10月に山口フィナンシャルグループに経営統合されている。業態は違うが平成16年に誕生した「西中国信用金庫」(下関信用金庫と豊浦信用金庫が合併)が、19年に宇部信用金庫、吉南信用金庫、県境を越えて津和野信用金庫(島根県)を傘下に収めている。平成22年1月には萩信用金庫と山口信用金庫とが合併を予定している。
金融再編の裏にはUFJ銀行と東京三菱銀行との合併に見られるように金融庁の意向が強く反映されている。一例を挙げると山口銀行ともみじ銀行の合併では、山口銀行の頭取交代劇を是認する代わりに、もみじ銀行救済を持ちかけたとの見方がある。合併を指導する立場から見ると、地域経済の衰退とともに地域金融機関の経営状況が厳しいと認識しているのは他ならぬ金融庁自身かもしれない。
つづく
【北山 譲】