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特別取材

(株)幻冬舎 代表取締役社長 見城 徹 氏 「熱狂」(3)
特別取材
2009年8月13日 08:00

狂っている人間を中心にしなければ、
ゼロから1は絶対に立ち上がらない。

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 見城 結局、人間は生まれたからには死に向かって進んでるわけだよね。やっぱりそれは、虚しいことなんですよ。僕は「いつか死ぬんだ」と考えたら、涙が出て止まらないっていう子どもだったんだ。だから常にその虚しさを埋めるものとして、何かに熱狂していないと僕は耐えられない。休み休み何かに熱狂するとことはできないわけ。
 死に向かう虚しさを一瞬でも忘れさせてくれるものは何かと、言えば、それは仕事や恋愛…人によっては家族だったり、お金だったり、友人だったり、宗教だったりするよね。僕はやっぱり、仕事。自分の日々の虚しさを一番埋めてくれるんだ。だから常に、何か新しい仕事に熱狂していたい、というのがある。日々熱狂していたいから、女性誌はどうしても創りたかった。大手出版社を12年後に抜き去るためには、どうしても女性誌の最初の一冊がなければいけない。そのためには、僕も熱狂してなきゃいけないけれど、「女性誌を創る」ということに熱狂できる別の誰かがいなきゃダメなんだ。
 新しい仕事やプロジェクト、新雑誌の立ち上げっていうのは、そのことに没頭する、染め上げられて日々時間を過ごす、まさに「狂っている」人間を中心にしなければ、ゼロから1は絶対に立ち上がらない。1から10にするにはそういう人間がいなくてもいいけれど、ゼロから1を立ち上げるには、とんでもなく極端なことに没頭する、狂った奴が必要なんだ。
 僕はそのことを、片山裕美という『GOETHE』編集部にいたひとりの編集者―主婦の友社の『Ray』『mina』『ef』などの編集長を歴任して幻冬舎に移ってきたんだけど―に見たわけ。そして片山に「好きな雑誌を作れ」と。そこから始まったのが『GINGER』だったんだ。日々熱狂していなければ生きていけないという僕の想い、幻冬舎があと12年で大手の出版社を抜き去るため、そして片山というひとりの編集長の熱狂に賭けるため、『GINGER』はどうしても必要だったんだ。

  ―巻頭に佐藤優さんや茂木健一郎さんのコラムが入っていますね。定番のファッショングラビアなどもありつつ、「今を生きる女性として、これぐらいは理解してなきゃダメだよ」というメッセージ性を感じました。

 見城 そういう面は確かにある。だけどそれはあくまでスパイスなんだ。佐藤優さんや山田詠美さん、茂木健一郎さんの原稿は、幻冬舎が創った新しいファッション誌という意味で、幻冬舎のマインドが多少でも反映されていなければ「らしさ」がない、と思うので入れてるんだ。だけど僕は「あまりそっちを重要視するな」とも言っているんです。幻冬舎は文芸出版社として出発したから、カルチャー的なものは得意なわけだよ。でも、たとえば編集長は主婦の友社から移ってきているから、あまり文芸的なものの経験とか風景がなかった。だから、変に文芸に幻想を持ったり憧れたりするんだと思う。だけどそれは、雑誌を売る原動力にはならないし、スパイス程度にしろよ、と強く言っている。多くても2ページ。そういうスパイスはあったほうが断然いいし、それは隠し味のように、味が深まるためには必要だけど、それが中心になってはいけないといつも思ってる。

  ―雑誌を作るということでいえば、見城社長も角川時代に『月刊カドカワ』の編集長をされておられます。

 見城 僕が『月刊カドカワ』の編集長を引き受けたとき、実売部数はわずか6,000部だった。誌面の半分以上に小説を載せなければいけない雑誌という宿命があって、何とかしなければとは思ったけれど、すごく難しかった。ちょうど『ロス疑惑』の最中で、三浦和義の女房だった三浦良枝の手記を、編集長になった号と次の号で前編・後編とやったんだよ。そしたら、6,000部の実売が2万部になった。でも、そのあとが続かない。そこで東奔西走して、御巣鷹山に日航機が墜落したあの事件の元凶は、日本航空の腐った体質にあるという、現役のスチュワーデス、今で言うフライトアテンダントの手記を発表したんです。これが3万部刷って完売した。僕が編集長になってからの3号で、2万部を2回続けたあと3万部になった。ところが、やっぱりその次がないわけよ。結局そういうのは「企画モノ」だよね。たとえば、まだ捕まっていない殺人事件の容疑者の告白とかさ、そういうのが載せられれば続けられたんだけど、そんなの毎月毎月は無理なんだよ。またすぐに6,000部に戻ってしまった。その状態が何カ月か続いて、七転八倒したよ。もう、考えに考え抜いて、悩んで悩んで悩み抜いた。

~つづく~

【取材・文・構成:烏丸 哲人】


見城 徹 (けんじょう・とおる) 氏

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1950年12月29日、静岡県清水市(現・静岡市清水区)生まれ。慶應義塾大学法学部を卒業後、75年に株式会社角川書店入社。『野性時代』副編集長を経て、85年に『月刊カドカワ』編集長。直木賞作品5本を含め、数多くのベストセラー作品を送り出す。93年、同社取締役編集部長を最後に退社。同年11月13日、株式会社幻冬舎を設立。『弟』(石原慎太郎)、『大河の一滴』(五木寛之)、『ダディ』(郷ひろみ)などのミリオンセラー作品を自ら担当編集者として手がけ、経営者でありながら、今なお編集・宣伝・営業の第一線に立つ。とくにその斬新な広告やプロモーションは、業界の常識を変えたと評される。一方、映画やテレビドラマの企画・プロデューサーとしても活躍、その動向は各界の注目を浴びている。

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