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特別取材

ニジェール奮闘記(16)~世界で一番貧しい国から~
特別取材
2009年9月 2日 08:00

(16)交通手段

 途上国と先進国の違いはいろいろあるが、移動の手段や快適さの違いがその国の発展の度合いを示している、というのが私の持論である。
 日本ではバス、電車、地下鉄、船、飛行機などさまざまな乗り物があり、目的に応じて使い分けることができる。また、交通網が張り巡らされており、地図を見れば目的地にどういう順路で向かえばよいかが確認でき、簡単に移動できる。出発時間になれば、たとえバスの乗客が1人しかいなくても出発するし、出発時刻が遅れることはまずない。日本だと廃車同然の車が現役で走る
 ではニジェールではどうか。まず代表的な移動手段はバス、タクシーである。日本だと廃車になっているような走行距離40万kmを越えたトヨタのスターレットが現役で走っている。ちなみに、ニジェール人は概してスピード狂である。それほど運転テクニックがあるわけでもないのに、普通の道で100km近く飛ばすので怖い。
 首都には日本のバス・電車のような交通網が整備されていないので、首都の各地を巡回する乗り合いタクシーに乗ることになる。乗り合いタクシーというのは耳慣れない言葉だと思うが、ニジェールでは日本のように個人や団体でタクシーを貸し切らない。同じ目的地に行く人、もしくは途中までの人を乗せたり降ろしたりしながら各地を回っているのである。市内の中心部までは片道200Fcfa(フランセーファー)、日本円で約40円である。たとえばどこかの店に行こうとして仲間4人でタクシーを拾えば、そのまま目的地へ行くことができる。しかし、一人で家に帰ろうとした場合、住んでいる場所が郊外であればなかなかそこまで向かってくれるタクシーは少ない。まず市内の中心部のタクシー乗り場まで行き、運転手に自宅の場所を伝える。すると、その地域に住む人が集まり、車内が満員になれば出発する。ここでのポイントは「満員になれば出発する」という部分である。とにかく一回の移動で多額の利益を得ようとするのである。家畜を乗せているハイエース
 タクシー網が張り巡らされているため首都での移動は比較的楽だが、近郊の町へ移動しようとすると話は変わる。タクシー・ド・ブルースというハイエースが、だいたい1日1本走っている。これも満員にならないと出発しないし、一応の出発時間は決まっているもののだいたい人を待つことが多く、常に遅れる。これが近郊に住むニジェール人の足となる。首都からさらに遠い町までの移動は長距離バスが出ている。これも1日に1本出ており、早朝の4~5時の暗いうちに出発する。また、バスはニジェールの各都市だけでなく近隣諸国に向けても出ている。
 一方、バスの事故は多い。とあるバス会社がスピードの出しすぎで正面衝突事故を起こし、30人もの人が亡くなる大事故が起こった。そして政府から6ヵ月間の営業停止命令を受けたのだが、3ヵ月後には地方都市でその会社が営業をしていたりする。私の任期中、数回そのような事故を同じバス会社が起こしている。また、道路が整備されていないため、道路の穴をよけようとしたバスが砂漠や道路わきの茂みに突っ込むというような事故も多い。さらに、故障も多く、サバンナの真ん中で停車したままバスが一日動かなくなり、結局野宿した人もいる。次回はそんなバスの旅についてお話したい。

~つづく~

【廣瀬】

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