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特別取材

一級建築士免許取り消し問題 問われる責任の所在(3終)
特別取材
2009年10月10日 08:00

サムシング元代表・仲盛昭二氏の事例から

責任の所在はどこに

 福岡の「足利事件」とでもいうべき今回の事件の火種が、福岡市にあったことを忘れてはならない。
福岡市役所
 「私は国交省や福岡市などの各行政機関に対して全面的に協力する姿勢を示したにも関わらず、不適切と判断された20件のうち、直接検証に関われたのは2件だけ。また、私が持っているサムシングの物件に関するデータを提出するというかたちで協力を提案したが、行政にすべて拒絶された」(仲盛氏)という。

 決定が下った直後、福岡市建築指導部長の市丸亮氏に今回の件について意見を求めたところ、「決定の内容については、国からは何も知らされておらず、そちらのホームページで知った。基本事件についてはこれからで何とも言えないが、裁判所がそういう判断を下したのならばその通りなのだろう」とコメント。

 どこか他人事のようにも感じるが、構造計算書を検査した責任について問うと、「たしかに確認を下ろしたのは事実で、当時の担当者も市民に対して申し訳ないと言っていた。私もこういう立場になって、見抜けなかったこと自体についてはそう思っている。言い訳がましいかもしれないが、実際そのときはそこまで分かるようなチェックをしていなかった。まさかそんなことをするとは誰も思っていなかったのが正直なところだ」と市丸氏は語る。しかし、それをチェックしてこそ確認機関(行政)の存在意義があるのではないか。偽装についても、「明確な定義はない。本人が偽装と言わないから、こちらもそうとは断定しがたい」という。

 改正建築基準法によって確認が厳格化したが、かえってそれが不況を招いた。官製不況と言われるゆえんである。ただ、それ以上に問題なのは、確認審査機関の能力のなさを建築士個人にすべて押しつけてしまったことだろう。組織権力は行使するが責任はとらない(民間ないし個人にとらせる)という事例の最たるものだ。

 一方で、構造設計一級建築士などの新たな資格が改正建築士法によってできた。これも実質的には構造計算の責任を建築士個人に負わせるものだ。今後は福岡市の責任を明確にし、確認審査機関とそれを監督する立場にある国交省の責任の所在をはっきりさせていく必要がある。

~了~

【大根田康介】


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