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『業界ナンバーワン企業の業績が何故凋落したのか?』 ~日之出水道機器(株)(上)
特別取材
2010年1月20日 14:10

 マンホール鉄蓋業界ナンバーワンで、以前は10%以上の経常利益を出すなど高収益企業として君臨していた日之出水道機器(株)(本社:福岡市博多区堅粕5-8-18、代表:浦上 紀之氏、資本金:2億7,000万円)だが、各自治体が価格の見直しを行なったことなどから受注単価が下落。減収減益を余儀なくされ、2期連続で赤字に転落するなど、かつての面影はない。同社の業績が何故凋落したのかを3回にわたって検証する。

◇業界ナンバーワンに君臨し、圧倒的なシェアを確保

 日之出水道機器は、1919年6月に個人創業し、48年5月に法人化した鋳鋼製造業者。創業以来、一貫して上下水道・電力・ガス・通信などのグランドマンホール(地上に設置してあるマンホールの鉄蓋)の製造販売を行なってきた。この分野での技術力は高く、鉄蓋などの各種特許を取得して、業界での地位を不動のものとしてきた。
 1996年12月に福岡本社ビルを購入し、ほかに工場も最大規模の佐賀工場をはじめ、福岡・埼玉・栃木の4カ所持している。物流センターも工場併設の佐賀・栃木・埼玉のほか岡山・滋賀の5拠点を構えている。

 また営業拠点は、北は盛岡から南は鹿児島まで全国29カ所にまたがり、業界最大手企業として磐石な体制を築いている。
 同社が業界で一目置かれるようになったのは、このマンホール業界で1960年以降にダクタイル鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)を初めて鉄蓋に採用したことによる。
 1960年以前の鉄蓋用材質は、普通鋳鉄(ねずみ鋳鉄)といわれ、ダクタイル鋳鉄に比べてもろい材質だったため、同社が開発した製品がスタンダードとなり、加えて鉄蓋に関するパテント(特許)を多数所有していることから、同社以外の製造業者はパテント使用料を必要とするため、同社が飛躍的に成長することとなった。

 その後も順調に業績を伸ばしてきた同社は、1997年3月期に過去最高の363億円の売上高を計上、収益面も好調時は経常利益で10%を超え、04年3月には当期利益率で9.1%を確保するなど、未上場会社ながら優良法人企業としてもその地位を不動のものとしてきた。
 特に、下水道鉄蓋に強く業界でのシェアは他社の追随を許さず、業界のリーディングカンパニーとしての地位を揺るぎないものとしていた。

 公共工事が一段落し、下水道工事も以前のように確保できなくなると、当然マンホールの鉄蓋の需要も伸び悩むこととなる、同社の業績は300億円台で横滑りとなったものの、各種パテントを多数有していることから、高収益体質は変わらず、業界での影響力も多大なものがあった。
 収益面で毎期30億円以上の申告所得を確保するなど、高収益体質を誇っていたのは、同社が同業メーカー他社と個別契約を結び、自治体ごとに製造・販売できる数量を「許諾数量」として取り決め、同業メーカーはこの数量を超えて販売してもいいが、その場合は同社に生産委託(OEM)しないといけないという条項をほとんどのメーカーと結んでいたためだ。同社はあらかじめ、その自治体のマンホール鉄蓋の数量を予測し、納品価格の25%をロイヤリティとして受け取り、残りを各業者に振り分けていた。許諾契約を結ばないと、各自治体の入札にも参加できないことから、事実上業界を牛耳っていたとはいえ、高収益体制を築くことができていたのだ。

(つづく)


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