◇無機廃材を使用した、理想の屋上緑化土壌
兼定興産(株)では、消火薬剤を再利用した肥料のほかに、もうひとつのリサイクル商品の開発・販売を行なっている。それは、屋上緑化用土壌『かるいちばん』。無機の建築廃材などを利用した、屋上緑化のために生み出された土だ。
屋上緑化は、以前は水が要らずに枯れにくいセダムという多肉植物を使用することが多かった。しかし、セダムは植物ではあるものの蒸散効果などがあまり見込めず、ヒートアイランド対策としての屋上緑化効果としては薄かった。それが次第に「芝」に取って代わり、今では家庭園芸的なものが主流になってきているという。
同社代表取締役社長の野下兼司郎氏は、従来の建築・土木的な分野からではなく、農業的なアプローチで屋上緑化の土を作ろうと思い立ち、バージン材もリサイクル材も全て含めて材料を模索。その結果、無機の建築廃材を使用し、それを一旦焼成処理などして不純物等を完全に取り除いたうえで、土壌として使用することにした。また、開発にあたっては、地元の久留米工業高等専門学校と3年にわたって共同研究を行ない、この土の物性と植生については詳細な調査とデータ収集を行なっている。
同社の『かるいちばん』の特性は、軽量なことはもちろん、「保水性」と「透水性」が高いことが挙げられる。「保水性」とは水を保持する性質のことであり、いわゆる「水持ち」のことを指す。一方、「透水性」とは水を通す性質のことであり、「水ハケ」のことである。素人考えでは、土壌に保水性さえあれば良さそうな気もするが、実際の植物の生育にとっては透水性も重要な要素。というのも、保水性だけ高い土壌の場合だと、必要以上の水を溜め込んでしまい、結果として根腐れなどを引き起こして植物は育たない。適度の水を保持した後は、不必要な水分は流れ去ってしまう方が植物の生育には適しているのだ。
『かるいちばん』が、保水性と透水性という一見相反する性質を併せ持っているのは、土の一粒一粒に小さい気孔が無数に空いている「多孔質」な形状のため。これによって、それぞれの粒に水分を含有することができる反面、余分な水分は粒の隙間を通って流れ落ちてしまう。
また、多孔質な土壌の利点は他にもある。見かけ比重が0.5~0.7程度という通常の土の半分ほどの重量に加え、優れた断熱性を有している。屋上緑化用としては、まさに理想的な土壌だ。
野下氏は、「屋上緑化土壌の原料として、自然の泥炭や土をわざわざ掘り起こして使用していたり、バージン材を使用しての土壌だったりと、環境の面から考えると矛盾しているように感じる。やはり、屋上緑化という環境負荷低減の取り組みのためには、リサイクル原料の再利用の方が理に適っているのではないでしょうか」と語ってくれた。
「不要消火薬剤を用いた肥料」、「建築リサイクル原料を用いた屋上緑化土壌」と、常に環境・リサイクルを意識した事業展開を行なっている兼定興産。同社の今後に期待が寄せられる。
【坂田 憲治】
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