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特別取材

開かれたクリーニング業界のパンドラの箱(3)
特別取材
2010年3月18日 13:10

実態調査は「魔女狩り」か 縦割り行政が招いた構造的欠陥

<悩みの種は設備投資>

 では、本題に入ろう。2010年1月28日、国土交通省は「昨年来、広域的にドライクリーニング業を営む複数の事業者の工場において、建築基準法第48条の用途規制違反が発覚したことは誠に遺憾」とし、衛生主管部局とも連携を図りながら、ドライクリーニング業を営む工場の本格的な実態調査に乗り出した。

 これは、ロイヤルネットワークときょくとうへの行政指導を受けてのものだが、ある意味でパンドラの箱を開けてしまったと言っても過言ではない。なぜなら、全国3万2,000カ所の調査対象のうち、80%以上もの施設が違法操業をしていると言われ、是正措置によっては倒産や廃業が噴出しかねないからだ。

 ワイシャツは一般的に水洗いだが、ウールや合成繊維素材は形くずれや縮みを引き起こさないよう有機溶剤で洗う。これがドライクリーニングである。使用する溶剤は石油系溶剤のほかに、不燃性のパークロルエチレンやフッ素系溶剤などがある。パークロルエチレンは不燃焼で油脂溶解力が高く、比重も大きくて揮発しやすいため、短時間で洗浄や乾燥ができるというメリットがある。しかし、これは有害物質との指定がされており、微量の排出も規制されている。

 フッ素系溶剤(HCFC-225)は不燃焼で油脂溶解力は小さいが、浸透量や比重が大きいため洗浄時間が短くできる。沸点が低いので乾燥温度が低くて時間も短いというメリットがあるが、ボタンや樹脂に損傷を与える場合もある。ただし、特定フロンがオゾン層破壊物質として95年末に国際的に製造が禁止され、代替フロンであるHCFC-225も製造時期が2020年までと決められている。

 したがって、厚生労働省によると国内ドライクリーニングに使われる94%の溶剤が、衣類が傷みにくく環境汚染が少ないといった利点がある石油系だ。では溶剤を変えればよいのかと言えば、事はそう単純ではない。
 
 まず、石油系と比べてフッ素系などは人体や土壌を危険にさらす恐れがあるうえ、10倍近くのコストがかかる。しかも関係者によれば「機械の入れ替えが必要で、どう考えても1,300万円くらいの設備投資が必要」だと言われ、中小規模の事業者が多くしかも高齢化している状況で、この設備投資負担は会社の首を絞めることになる。これがクリーニング店経営者の頭を悩ます大きな理由だ。

(つづく)

【大根田康介】


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