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特別取材

日本振興銀行による 銀行法違反(検査忌避)事件(下)
特別取材
2010年7月31日 08:00

<小畠氏が社長就任 厳しい経営の舵取り>

 同行は、7月14日の取締役会で、同日銀行法違反(検査忌避)容疑で木村剛前会長と共に逮捕された西野達也社長ら執行役3名を解任、社外取締役の小畠晴喜氏を社長に選任した。
 新社長の小畠氏は、旧第一勧業銀行(みずほフィナンシャルグループ)出身。2店の支店長を経験し、03年3月に退職している。また同氏は、「江上剛」のペンネームでビジネス書や小説を執筆する作家としても活躍している。同行の社外取締役を04年6月から務め、木村容疑者とは親密な間柄だったという。
 金融庁が5月27日の行政処分で指摘した法令違反は、銀行法のほかに出資法、貸金業法、個人情報保護法など。顧客への影響について小畠社長は、「預金の減少は正常な範囲内」とのこと。しかしながら、9月末まで1億円以上の大口融資と債権買取業務の禁止、預金と融資の勧誘業務の禁止など、金融庁による業務一部停止命令の影響は出てきている。また、ジャスダック上場のインデックス・ホールディングスは7月16日、同行との資本提携を解消し、「中小企業振興ネットワーク」からの脱会を表明している。
 小畠社長は、「中小企業の支援や預金者のため、責任を果たしていきたい」と表明。しかし、銀行経営の手腕は未知数のうえ、有力な支援先が見込めないなか、厳しい舵取りが求められるのは必至である。

<同行問題からの教訓>

 木村剛前会長ら5人が警視庁に逮捕されたことは、かつて金融改革の旗手ともてはやされた同氏に司直の手が伸びたということもあって、金融界にも少なからず衝撃を与えた。
 木村容疑者は、09年6月の金融庁検査前に都合の悪いメール280通の削除を指示した検査忌避のほか、自らが議長を務め約110社で構成する「中小企業振興ネットワーク」を舞台とした優越的地位の乱用や、迂回融資などの疑いが持たれている。これが事実であれば、顧客からの銀行への信頼を裏切る、前代未聞で言語道断の極めて悪質な背信行為と言える。創業時から事実上のトップとして同行に君臨してきた同容疑者は、厳しくその責任を追及されるべきである。
日本新興銀行(株)の収益の状況 しかしながら、同容疑者を告発・非難するだけでは、振興銀問題の本質は解明できない。同行が発足した04年頃まで遡り、当時の金融行政当局の対応を改めて問う必要がある。
 01年に「構造改革」を掲げて登場した小泉首相のもと、02年9月に金融担当大臣に就任した竹中平蔵氏は、04年9月まで金融行政を担当した。木村容疑者はそのブレーンとして02年に金融庁顧問となり、不良債権処理を目指した金融改革プログラムで頭角を現した。その木村容疑者が金融の経営者となったのが、同行であった。設立から免許取得まで異例の早さの銀行新設に、当時の竹中大臣の後押しがあったことは否めないと言われている。
 05年には、東京都の石原知事の肝煎りで「新銀行東京」が発足している。これらの新銀行ブームの背景には、既存金融機関が不良債権処理に追われ、金融仲介機能を十分発揮できていなかった事情があったとはいえ、「中小企業専門の銀行の経営は、口で言うほど簡単なものではない」という批判は、当時も今も根強い。案の定、両行の経営は非常に厳しい状況にある。
 個別金融機関の経営行き詰まりは、金融システム全体に大きな影響がおよぶことを、金融当局は肝に銘じるべきである。

(了)

【久米 一郎】


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