NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

【座談会】金融本来の機能を発揮して 業界に蔓延する歪みの是正を(1)
特別取材
2010年11月29日 13:19

 国内の中小企業を取り巻く金融環境の厳しさは、日に日に増していっている状態である。今回、各方面にてご活躍中の4名の方々に、座談会というかたちで金融行政のあり方について討論していただいた。現在の金融行政および金融機関に対する提言や厳しい意見などが多数出され、業界環境の問題点を鋭く突くものとなった。

(聞き手:(株)ディー・エムサービス コンサル部長 柳 憲一郎)

<最近の金融機関スタンス>

 ―まず、それぞれの自己紹介をお願いいたします。

アジア太平洋マネジメント 代表 青木 道生 氏 青木 学卒後、九州の地方銀行に勤務し、法人融資を行なっておりました。しかし、金の貸し借りおよび融資判断における財務審査だけでなく、真に中小企業の欲しているニーズに対応するためには、独立した立場で事業を行なう方がより高度な対応ができると考え、本年3月より北九州において、中小企業の金融コンサルティング事業を創業し、現在に至っております。

 A氏 建設業を主とする会社の経営を行なっております。昨年9月に社長に就任し、ようやく1年が過ぎたところです。金融機関とのやり取りを通じて感じたことを、今回お話できればと考えております。

 西田 西南学院大学では「証券論」という科目を教えていますが、もともとは地域経済の分析を行なっており、そのなかで地方銀行や中小企業の経営分析も行なってきました。2005年に北九州市立大学と北九州経済についてのアンケートを行なったのですが、それから時間が経過した現在の状況を本日はお話できると考え、出席させていただきました。

 井手 私は、司法書士業務に従事している関係上、直接的に金融に関わることは少ないのですが、商業登記絡みで企業とお付き合いするなかで、近年は直接金融や事業承継の相談を受けることが増えてきております。また、不動産登記の面で金融機関とのやり取りもあり、今回の会にお役に立てる情報もあると考えて、出席させていただきました。

 ―最近の中小企業に対する金融機関の融資スタンスに対して、何か要望などはありますか。

 青木 仕事柄、さまざまな金融機関との折衝に臨んでいます。最近顕著な傾向として、金融機関ごとに融資スタンスが違ってきていることを感じます。
 たとえば、福岡・北九州以外の地方になりますと、競争原理が働かないこともあって、若干消極的なスタンスも見受けられます。北九州市内においては、融資を出せる企業にはかなりの低金利攻勢をかけている金融機関もあるようです。また、財務諸表等の数値ベースでの融資判断が顕著であると思います。ひとえに、スコアリングに依存した融資というわけではありませんが、その企業のビジネスモデルや成長性など数値化することが難しい部分に関しての評価がなされない、またはその客観的な評価基準がなく、目に見える担保や協会保証などに企業の評価が左右されています。その傾向は、一般的には信用金庫によく見られると感じています。

 A氏 ここ近年で、取引銀行のスタンスが変わったと感じることはありませんでした。しかし、弊社が前期非常に良い決算が出せたのですが、そこからかなり対応は変わったと思います。以前は協会保証の話が当たり前のように出てきましたが、それ以降少なくなりました。
 弊社の業種は建設業で、属性という意味では高い評価ではないと思いますが、やることをやって実績を作れば、金融機関はしっかり支援してくれるのだなということを非常に感じました。

 西田 私が05~06年に調査した金融機関の対応傾向として、リレバン(リレーションシップ・バンキング)を本来やらなければいけない企業にリレバンせずに、逆にトラバン(トランザクション・バンキング)でいいところに対してリレバンを行なっているミスマッチ傾向が見られました。近年では、それがますますラピス司法書士事務所 司法書士 井手 誠 氏顕著になってきています。

 井手 融資先の紹介を金融機関に依頼されることはありますが、先ほどのお話の通り、「経営者の意欲」や「しっかりとした事業計画が作成されていること」よりも、財務内容や数字が重視されている傾向があることを強く感じます。

(つづく)

【文・構成:神田 将秀】

 <参加者>
 アジア太平洋マネジメント 代表 青木 道生 氏(共催)
 西南学院大学 商学部准教授 西田 顕生 氏
 ラピス司法書士事務所 司法書士 井手  誠 氏
 A社 代表 A 氏


*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


特別取材一覧
特別取材
2011年6月24日 07:00
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル