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特別取材

パルコ落城寸前、イオンの敵対的買収劇が成功か(下)
特別取材
2011年4月12日 07:00

イオングループ 筆頭株主と経営陣の軋轢(あつれき)を好機到来と受け取ったのが、イオンだった。イオンは昨年冬頃から水面下でパルコの株式を買い進めたうえ、今年2月22日にパルコ株を12.3%取得したと発表し、突如パルコの第2位の株主に踊り出たのである。イオンはそのうち19%分を米国のヘッジファンド、サード・アベニュー・マネージメントから相対取引で買い取ったと見られている。

 イオンの襲撃に寝耳に水と驚いたのがパルコの平野秀一社長である。イオンが関東財務局に提出した大量保有報告書には、なんと共同保有者として筆頭株主の森トラストの名前もあったからである。森トラストとイオンで保有株比率は45.5%にもなる。実質的に株主総会を左右する力を得たといえる。つまり両社が組んでパルコを支配する力を得ている、と宣告したのだ。

 パルコの平野社長はあわててイオンの岡田元也社長に会いたいと連絡し、二人の会談が実現したのは東日本大震災が発生した3月11日のことだった。だが岡田は言を左右して何が狙いなのか明確に言わない。パルコはこの震災で仙台店が大打撃を受けている。そしてイオンの不気味な奇襲攻撃。社内に動揺と緊張が走った。

 イオンの意図が見えたのは、イオンが3月17日にパルコに通告してきた提案書「協力関係の構築について」であった。このなかでイオンは、パルコの低迷は「ブランドの弱体化が深刻な要因で、このままではジリ貧に陥るリスクがある」と厳しく指摘し、海外展開するにもノウハウが不足していると非難した。そこでイオンと組んで中国展開を加速化し、中国の都市部郊外はイオンが、都市の中心部はパルコがそれぞれ出店する計画を提言し、こうした両社の協業によってパルコの2012年度の売上高は、協業しない場合よりも147~172億円増え、純利益も同じく76~91億円伸びる、と伝えた。

 さらにイオンは3月29日、5月下旬に予定されている株主総会で株主提案権を行使するとパルコ側に通告してきた。パルコの平野社長ら生え抜き役員5人のうち4人を退任させ、代わりに森トラストから2人、イオンから3人を役員として送り込む、というのである。パルコ生え抜き経営陣のほぼ総退陣を突きつけたと言える。筆頭株主の森トラストからも3月31日、同じ内容の株主提案権を行使するとの通告が寄せられ、もはや両社が連携してパルコの経営陣を一掃し、思うがままにしようとしているのは明らかだ。

 防戦一方のパルコの平野社長は4月6日、東京で記者会見し、自身の退陣を否定し、イオンの提案を全面的に拒否することを表明した。しかし45%強を奪われた後となっては、もはや手のうちようはなさそうだ。その点を問われると、平野氏は「いろんな対策を考えていますが、まずは残りの55%の株主の理解を得ていきたい」と言うのみだった。株主対策を怠ってきたツケが回ってきたといえるだろう。

 それにしてもイオンの買収のうまさが光る。森トラストを巧みに引き寄せることで、たった87億円を投じて12%強を取得しただけで、パルコを手中に収められるのだから。パルコ側の愚かぶりがきわだつ敵対的買収劇である。

(了)

【尾山 大将】

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