筆者は昨年、今年とシンク・タンクの産・官・学「クール・ジャパン」プロジェクトに参加する機会があった。しかし、この言葉には違和感を覚えていた。参加者は、大手広告代理店、プロダクション、金融関係者が多く、"文化"の匂いがまったくしなかったからだ。これが、本書を購入した動機である。
NHK衛星放送『COOL JAPAN発掘!かっこいいニッポン』は、2006年4月に放送が始まり、今年は7年目に入る。この本には、番組で放送した内容を中心に、様々な機会に番組プロデューサーである著者が聞いた外国人の言葉が紹介されている。「クール・ジャパン」の必読入門書と言える。
外国人が"クール"という言葉の中には、日本人の気づかない多くのヒントが含まれている。一方、彼らが"ノット・クール"という言葉にも、日本人が生き方を見つめ直す多くのヒントが含まれている。
ちなみに、人気ランキングは、1位洗浄機付き便座、2位お花見、3位100円ショップ4位花火、5位食品サンプル、6位おにぎり、7位カプセルホテル、8位盆踊り、9位紅葉狩り、10位新幹線となっている。
ところで、国の政策として考えた場合、「クール・ジャパン」は本当にほめ言葉なのか?「ガラパゴス・ジャパン」とどう違うのか?国益に結びつけることは可能なのか。
今月、外務省はクール・ジャパン戦略の司令塔として「広報文化外交戦略課」(仮称)の新設を決めた。新聞によると、中国「孔子学院」や韓国「韓流ドラマ」ブームを意識してのことらしい。正直、役人の浅知恵、"バカ丸出し"である。この程度の知識、見識では、いつも通り、電通を始め大手広告代理店、大手プロダクション、大手イベント会社に血税の垂れ流しだ。少し前ネットで問題となった、シンガポールのAKB48(血税で海外プロモーション)の例を挙げるまでもない。
国家ブランディングの草分けは「クール・ブリタニア」の英国である。同国は多額の税金を注ぎ込み、見事に失敗した。今では、"死語"になっている。これを成功できるのは、イアン・ブレマーの言う、いわゆる「国家資本主義」の国だけである。日本はその真逆だ。
現在、なりふり構わず進撃中なのは、「韓流」である。しかし、そのアイドル・セールスは、"文化"とは程遠い、下品そのもので、先進国での評判はすこぶる悪く、嘲笑されている。
この本には多くのヒントが入っている。読者は「クール・ジャパン」などという、幻想に囚われることなく、自分の其々のフィールドで、役に立つ考え、ものを探り出し、ビジネスに役立てて欲しいと思う。
<プロフィール>
三好 老師 (みよしろうし)
ジャーナリスト、コラムニスト。専門は、社会人教育、学校教育問題。日中文化にも造詣が深く、在日中国人のキャリア事情に精通。日中の新聞、雑誌に執筆、講演、座談会などマルチに活動中。
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