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もう「宣伝の華やかさ」には騙されない!~ 「 健康食品ガイド」田中平三監修(同文書)
書評・レビュー
2012年10月24日 14:24

 全国の消費者センターに寄せられる「健康食品」や「健康グッズ」の被害が増えている。今年一番の事件は、NHKなどマスコミでも度々取り上げられた「茶のしずく石鹸(悠香)」による "アレルギー発症"訴訟である。
 CMタレント真矢みきの「あきらめないで!」の言葉に励まされ、約5,000万個が売れた。この事件で真矢みきに対し、「本人は本当に使っていたのか?」、「法的責任はないのか?」、「道義的責任を感じているのか?」などと様々な意見があった。もちろん、これは彼女の1本3,000万円とも言われているCMビジネスの一環であり法的責任は問えない。つまり、消費者は"自分で自分を守る"必要があるのだ。

 本書は健康食品を"安心して飲みたい"読者に参考にして頂きたい1冊である。読者待望の市販版であると言える。それは、先に同内容のものを大規模病院などで販売、医療関係者だけで、何と6万部が売れているからだ。本書刊行にあたり、元国立健康・栄養研究所理事長である田中平三氏が監修、聖路加国際病院理事長・名誉院長の日野原重明氏が推薦の言葉を寄せている。

 本書は、健康食品・サプリメントの最先進国・アメリカの「ナチュラルメディシン・データベース」(日本語版は日本医師会、日本薬剤師会、日本歯科医師会が総監修)がベースとなっている。この「データベース」は編集委員がアメリカの大学教授、医師、薬剤師など約90名で構成。委員資格は「サプリメント関連企業の株を保有してはいけない」などとても厳しく、企業とは一線を画し、学術的立場から健康食品・サプリメントを見つめている。企業の報告書、民間伝承、一般の人や俳優の体験談などにはとくに厳しい態度で臨んでいる。その結果、アメリカのFDA(食品医薬局)、カナダのHealth Protection Agency(健康増進庁)などが採用、日本でも国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性情報サイト」に引用されている。

 「ナチュラルメディシン・データベース」は各素材・成分の有効性を6段階に分類している。しかし、本書では読者にわかりやすく、約140種類(亜鉛、カルシウム、グルコサミン、乳酸菌、ビタミンD、プロポリス、レシチンなど)を簡潔に4段階にわけた。「レベルA」(効く、またはおそらく効く)、「レベルB」(効くと断定できない、効果の可能性は科学的に証明されている)、「レベルC」(効かない可能性が高い、または効かない)、「科学的にデータが不十分」(現段階で結論づけることはできない。今後より多くの研究が必要)にわけている。「レベルC」以下の素材・成分は摂取しないほうがよさそうだ。

 最大の特徴は、医薬品と健康食品・サプリメントの「相互作用」(飲み合わせ)にまで言及している点だ。「一緒に飲んではいけない医薬品」では、重篤な症状があらわれた例も載っている。

 日本は、健康食品・サプリメントの後進国だ。それは、良くも悪くも「皆保険制度の充実」に基づいている。しかし、「厚生年金破綻」などの声を聞くなかで、現状維持できるかは不透明だ。日頃の「予防」が重要になる。今後は、健康食品・サプリメントを正しく利用していくことも大切になってくるだろう。

 最後に、この「データベース」はあくまでも素材・成分に関する情報であり、個々の市販製品の安全性、効き目や医薬品との相互作用を担保するものではないことを付け加える。充分注意した上でのご利用をすすめたい。

<プロフィール>
三好 老師 (みよしろうし)
 ジャーナリスト、コラムニスト。専門は、社会人教育、学校教育問題。日中文化にも造詣が深く、在日中国人のキャリア事情に精通。日中の新聞、雑誌に執筆、講演、座談会などマルチに活動中。


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