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REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(75)~エピローグ 真の再生に向けて
経済小説
2012年8月10日 07:00

sora_17.jpg これまで書いてきたように、私は2008年のリーマンショックで上場デベロッパーを潰し、その後ブラック企業に勤務しながら倒産処理を終え、年収6割減という形で何とか再出発を図ることになった。
 
 それまで、DKホールディングスの残務処理をきちんと果たすことで、おのずと次の仕事も見つかるだろう、と比較的楽観的に考えていた。若い頃の職場の先輩に、勤務先の倒産を経験した人がいたが、その先輩からそのようなことを聞いていた。

 しかし、結果はこれまで書き連ねてきたように、いわゆるブラック企業の勤務まで経験したうえ、平成元年(1989年)4月に大学を卒業して以来、初めて無職となり、最終的には年収6割減からの再出発となった。

 いちおう一流と言われる大学を出ても、このようにリスク多き人生を過ごすことになった。
 福岡人材銀行で、国立や私立の超一流の大学を出た中高年の人たちが、50台後半の方々とはいえ一様に年収400万円という目線で求職登録をしているのを見たときには、本当にがっくりきたものだ。
 その原因は、サブプライムローン問題からリーマンショックへとつながった100年に1度といわれる金融の大津波だった。そしてようやくリーマンショックからの回復が見えてきたと思ったら、東と西から激しい津波が襲ってきた。東日本大震災、ユーロ危機と。

 これらは福岡からは遠い異国あるいは他地方のことではあるが、経済活動がグローバル化したなかでは、これまで以上に外国を震源とした地震波も早く伝わってくる。
 実際、これらの事象により、日経平均株価はリーマンショック直後を下回るところまで下落した。
 株価が慢性的に下落すれば、新規上場の動機はかなり薄れてしまう。
 その結果、地方都市での上場会社の管理責任者、あるいは新興企業の上場準備責任者などという属性の求人は消失してしまった。

 それでも、ある程度の高年収を維持したければ......、ブラック企業しかない。しかし、私はそのような途ではなく、社員数人の会社のメンバーの1人として事業の立上げに参画し、そのなかで自分のポジションも作っていく、そういう途を選んだ。

(つづく)
【石川 健一】

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<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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