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田中慶秋法務大臣、暴力団と癒着か?~「となりの闇社会」 一橋文哉著(PHP新書)
書評・レビュー
2012年10月12日 10:53

 2011年10月に東京都と沖縄県が「暴力団排除条例」を施行、この結果、日本全都道府県で条例の導入が完了した。それは、同時に"闇社会"が二度と地下に潜ることができなくなり、社会に同化していかざるを得なくなったことを意味する。闇社会のイメージが「何をされるかわからない」怖さから「どこに潜んでいるかわからない」怖さに変わったのである。

 著者の一橋文哉氏はフリーのジャーナリストである。本名など身元に関する個人情報はすべて非公開だ。三億円強奪事件、宮崎勤事件、オウム真理教事件など、殺人、未解決事件や闇社会が絡んだ経済犯罪をテーマにした、骨太のノンフィクションを次々と発表している。

 本著は全5章(企業と闇社会、行政と闇社会、家庭と闇社会、金融と闇社会、医療と闇社会)からなり、これでもか、これでもかと、呆れるほど悪い奴のオンパレードになっている。

 序章で、福岡の日本有数の武闘派暴力団「工藤會」のことが書かれている。暴力的な威嚇行為によって企業に資金提供を求める昔ながらの活動を堅持し、反警察の姿勢を強め、武装化を進めている。実際に"ドンパチ"の派手な抗争もあり震えるほど怖い。
 しかし、続く5章で、一般市民を装い、同じような顔をして表社会に紛れ込んでくる陰湿な"ヤクザ"と比べると「工藤會」には義理人情も道理もあるのではと勘違いしてしまいそうだ。

 "カタギ"の世界では、キャリア形成で、成功方程式がなくなって久しい。ところが、闇社会では、野村證券から外資系金融機関を経て、投資コンサルタント開業という「悪の王道」のエリートコースが存在する。AIJ投資顧問の年金消失事件、オリンパス巨額債務の粉飾決算事件ニチメン株、国際帝石株のインサイダー取引など枚挙に暇がない。

 厚労省によると生活保護の患者しか受け入れない医療期間が全国に72カ所あるという。さらに、患者の90%以上が生活保護という医療機関が関西を中心に300カ所ある。
 そのうちのひとつ、大阪市西成区にある診療所には、毎日1時間ごとに無料送迎の軽ワゴン車が1台、2台と横付けされる。診療所は高級サウナや高級ホテルと見間違う程だ。この診療所には"常連患者"が一日平均200人訪れる。同診療所の売上目標は、月2500万円である。生活保護受給者の医療費は全額公費で賄われるのだ。(生活保護法15条)【第2章 行政と闇社会】

 今、ビッグニュースが飛び込んできた。本日発売の「週刊新潮」によると、今月就任したばかりの田中慶秋法務大臣は、指定暴力団稲川会系の大物組長の新年会で挨拶、神奈川県の暴力団幹部の仲人を務めるなど、数々の暴力団幹部との交際があるという。暴力団と付き合いのある人間が"法の番人"である法務省トップとはブラックユーモアを通り越し腰が抜けてしまいそうだ。
 これでは、「となりの闇社会」ではなく「民主党閣僚も闇社会」ということになる。

 一般社会に溶け込み、どこに潜むかわからない闇社会の実体を明らかにすることは難しい。悪魔は読者のすぐ隣で笑っているかも知れないのだ。充分に注意して欲しい。

<プロフィール>
三好 老師 (みよしろうし)
 ジャーナリスト、コラムニスト。専門は、社会人教育、学校教育問題。日中文化にも造詣が深く、在日中国人のキャリア事情に精通。日中の新聞、雑誌に執筆、講演、座談会などマルチに活動中。


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