2024年04月17日( 水 )

九州地銀グループの実力度を検証(11)

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 前回に引き続き、九州地銀グループ第1位のふくおかFGと第2位の西日本シティ銀行グループ(以下G)を検証していくことにしたい。【表1】の九州地銀グループの計数を見ていただきたい。

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ふくおかFGと西日本シティ銀行Gを検証

(3)当期純利益について

・ふくおかFGの連結修正後の当期純利益は366億円(前期比1.1%)で、増加額はわずか4億円にとどまった。また西日本シティGは258億円(前期比5.5%)で、増加額は14億円。

・福岡銀行の当期純利益は363億円(前期比▲10.1%)で、▲41億円。西日本シティ銀行は248億円(前期比3.5%)で、増加額は8億円。福岡銀行との差は縮まってきてはいるものの、まだ115億円の開きがあり、福岡銀行の優位は動かず今後も続くものと思われる。

・両グループの中では、法人税の戻りという特殊要因があったにせよ、熊本銀行が前期比30億円増加し80億円。また九州銀行も5億円増加し9億円と倍増したのが目を引く。

・福岡FGの16年3月期の当期純利益予想は370億円。一方西日本シティGは232億5千万円となっており、その差は108億円から137億円に広がる予想となっている。

(4)自己資本比率について
・ふくおかFGの自己資本比率は9.60%で、前期の10.28%から0.68ポイント悪化している。その大きな要因の一つは貸出金を積極的に増加させたことが挙げられる。国内(バーゼルⅢ)基準の4%を大きくクリアして入るものの、10%を割り込んだ。対する西日本シティ銀行も9.62%で、前期の10.24%から0.62ポイント悪化して、ほぼ同じ水準となった。

・個別にみると福岡銀行の連結自己資本比率は9.71%(単体は9.53%)となっており、同じく連結の西日本シティ銀行と比較すると、わずかではあるが0.09ポイント上回っている。

ふくおかFGと西日本シティ銀行Gに対する評価について

・まだまだ不良債権比率や貸倒引当金の精査など検証すべき計数は多いが、(1)預金残高、(2)貸出金残高、(3)当期純利益、(4)自己資本比率から検証した結果、ふくおかFGの優位は動かず、むしろ西日本シティGにとっては、今後の展開次第では厳しさが増す可能性もある。

・昨年6月、西日本シティ銀行は8年間トップの座に君臨していた久保田勇夫頭取は会長となり、谷川浩道頭取が誕生。同じくふくおかFGも谷正明社長(兼福岡銀行頭取)も会長となり、柴戸隆成がその跡を継いでいる。二人は修猷館高校の同級生であり、九州地銀グループの経営統合を巡り、共に総帥としての力量を問われることになる。特に西日本シティ銀行の総資産は8兆5,938億円で、今年10月に誕生する九州FGの8兆8,205億円(いずれも15年3月期)に抜かれ、第3位に転落することが予想されている。その座を奪還しふくおかFGを追撃するには、西日本FGを設立し傘下に入る銀行を増やすしかなく、その命運は谷川頭取の手腕に託されていると言えよう。

(つづく)
【北山 譲】

 
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