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2016年03月02日 11:23

文化論としての「アキバカルチャー」!(1)

インテグリカルチャー(株) 代表 羽生 雄毅 氏

 オタク文化に代表された、日本国内で「アキバカルチャー」と呼ばれているものと、今世界で流行している「グローバル・アキバカルチャー」は似て非なるものであると言う。それはどういうことか。実はここに、正しく「日本」を発信し新たな世代の世界の「OTAKU」たちと交流していくヒントが含まれている。
 話題の近刊『OTAKU エリート』(講談社+α新書)の著者である羽生雄毅氏に聞いた。羽生氏は大規模細胞培養と科学コミュニケーションを主な事業とするベンチャー企業、インテグリカルチャー株式会社の代表で英国オックスフォード大学の化学博士である。一方、物心ついた時から「OTAKU」文化に囲まれて成長した、典型的な「OTAKUネイティブ」だ。

中学2年の時に家族でパキスタンに移住した

 ――昨年、貴社の「Shojinmeat Project」(最先端バイオ技術で培養食肉を量産)は農業水産分野に関係する技術者の企業支援を目的としたビジネスコンテストで、最優秀賞とロート賞のダブル受賞をされました。おめでとうございます。
 しかし、本日は本業ではなく、「OTAKUネイティブ」の代表として色々とお話をお聞かせ下さい。先ずは、羽生さんのことに関して教えて頂けますか。確か、高校はパキスタンのイスラマバードでしたね。

 羽生雄毅氏(以下、羽生) 私は父親(国連勤務)の転勤で、神奈川県の中学(栄光学園)2年の時に、家族でパキスタンに移り住みました。パキスタンでは、イスラマバード・インターナショナルスクールに通いました。その後、高校2年修了で、2002年にオックスフォード大学セイント・キャサリンズカレッジに入学しました。大学では無機化学を専攻、博士課程を終了後、モスクワ国立大学に短期留学して帰国しました。帰国後は、東北大学産学連携研究員、東芝研究開発センターを経て現在の会社を2015年に起業しました。

マンガ・アニメそのものにのめり込んでない、

 ――そんな羽生さんと「マンガ・アニメ」との出会いはいつ頃のことになりますか。

インテグリカルチャー(株) 羽生 雄毅 代表

インテグリカルチャー(株) 羽生 雄毅 代表

 羽生 私はマンガ・アニメそのものには、いわゆる「オタク」ほどには、詳しくありません。もちろん、普通に多くの子どもたちと同じように、『アンパンマン』や『ドラえもん』などを見て育ちました。とくに、私自身は小さい頃から「未来・科学・SF」ものが好きだったので、ドラえもんには強く影響を受けています。昨年起業した会社もその延長線上にあるのかも知れません。しかし、マンガ・アニメそのものにのめり込んでいたわけではありません。「アニメやマンガに詳しくないオタク」は、「OTAKUネイティブ」の間でとくに目立ち、本日のお話にとって重要な意味を持っています。

 たとえば『東方Project』(同人サークルの上海アリス幻樂団によって製作されている著作物)の同人誌を描くのに忙しくてアニメを見ない人もいます。ブラウザゲーム(Webブラウザ上で動作するゲームソフト)や同人音楽(同人活動の表現方法に音楽を選んだ者、その活動・創作などの総称)に夢中で、マンガは読まない人もいるのです。

日本との直接的なつながりはインターネット

 ――「マンガ・アニメを読まないOTAKUがいる?」それはどういうことでしょうか。

 羽生 「OTAKUネイティブ」は必ずしもマンガ・アニメに詳しいとは限らないということです。この層が言う「アキバカルチャー」は、マンガ・アニメ以外にも、ゲーム、同人音楽、二次創作、イラスト、イベント、SNSコミュニティ、動画サイト、コスプレ、踊り、アイドルなども含みます。今のオタクないしOTAKUは、全員が必ずしもマンガ・アニメが「ジャンル(専門)」ではないのです。たとえば、私の場合は、ジャンルから言えば、「2ちゃんねる」や「ニコニコ動画」の系統です。

 私は1998年に中学2年でパキスタンに家族と一緒に移り住んだのですが、その時点で日本との直接的なつながりはインターネットだけになってしまいました。当時ネットで流行っていたのは、PCゲーム関連の個人サイト、その後は2ちゃんねる、フラッシュ動画(図や写真を上下左右に動かすこと、拡大縮小すること、透明度を変えることなどが可能)などです。ゼロ年代半ば以降は、世界的にインターネットが全盛になり、私が入学したオックスフォード大学でも、日本人ではない後輩が、ネットを通じて見たアニメのコスプレをして、踊って楽しんでいました。

アキバカルチャーをネットで知って楽しむ世代

 ――なるほど、そうすると羽生さんのような「OTAKUネイティブ」とマンガ・アニメはどのように関わってくるのですか。

 羽生 一言でお答えすると、「マンガ・アニメをネットで知って楽しむ」と言えます。たとえば、組曲『ニコニコ動画』という当時大変に流行った楽曲があります。これは、ニコニコ動画(アニメやゲームなど)で人気のあった曲をメドレー形式にしたものです。まずは、インターネットを通じて、組曲『ニコニコ動画』を知り、その中で使われていた楽曲に面白いと興味を持ち、さかのぼって調べてみると、TVアニメ『リトルバスターズ』の中で使われていた曲だと知るわけです。そこで、今度は曲だけでなく、TVアニメ『リトルバスターズ』を見ることになるのです。おそらく、海外のファンの多くは、このようにネットでの流行を介して、「マンガ・アニメ」に進んでいるのではないかと思われます。

(つづく)
【金木 亮憲】

【注】ニコニコ動画:(株)ドワンゴが提供している動画共有サービス。携帯電話端末向けにもサービスを提供している。ニコニコ生放送やニコニコ静画など、ニコニコの名を冠し、動画共有サービスの枠を超えた多くの派生サービスが展開されている。一般会員登録者数が約5,000万人、有料会員は約250万人、モバイル会員は623万人(2015年8月現在)となっている。

<プロフィール>
hanyu羽生 雄毅(はにゅう・ゆうき)
インテグリカルチャー(株) 代表。
 1985年生まれ。2006年オックスフォード大学化学科卒業。2010年同大学院博士課程修了。
在学中は科学ソサエティー会長やアジア太平洋ソサエティーの委員を務める。帰国後は、東北大学と東芝研究開発センターを経て2015年にインテグリカルチャー(株)を設立。日本初の人工培養肉プロジェクト「Shojin meat Project」を立ちあげる。その一方で、オックスフォード大学在学中から、2ちゃんねるやニコニコ動画のヘビーユーザーであり、帰国後も同人誌即売会やイベントなどの「オタク活動」を行っている。

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