2024年04月20日( 土 )

2016年伸びた企業 2017年注目企業~2017年ヘルスケア市場

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機能性表示食品を取り巻く諸問題

jikken 機能性表示食品として消費者庁が受け付けた(受理した)商品は2016年12月22日付で596件。受理のスピードは急速に上がっており、ドラッグストアが棚割りを充実させるために必要とされる1,000件も、そう遠くない将来のこととなった。

 ただし、消費者庁の受理速度が上がったといっても、既存の成分、たとえば「難消化性デキストリン」や「GABA」「EPA・DHA」など、特定保健用食品(トクホ)で実績を積み上げた成分が市場をリードする傾向にある。開発コストのかかるトクホ市場で実績を残している企業といえば、大手企業が中心だ。

 受理された機能性表示食品についても多くの問題を抱えている。すでに受理された商品で8件の取り下げが行われている(16年11月28日現在)。そのほとんどが研究レビューに基づくもので、採択した論文が査読付きでなかったり、臨床試験の被験者が健常人でなかったりと、制度のガイドラインに外れた論文を採択したことによる。過去の論文は新制度を視野に入れて書かれたものではないため、ガイドラインに定められた規定に則っていないものが少なくない。ガイドラインを無視して、強引に作成した研究レビューで届出を行った商品は、事後監視で多くの疑義を生んでいる。
 八幡物産(株)が届け出た『北の国から届いたブルーベリー』もその1つで、同社は同じ品名の機能性表示食品を2度にわたって撤回している。

 消費者庁は16年1月から11月までの全11回にわたり、「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」を開催した。この会合で、作用機序の明らかでない関与成分などについて、安全性を踏まえた議論が重ねられた。その結果、これまでの指針より厳しい改正ガイドラインが来春以降、施行されることとなった。同ガイドラインは、これまでに受理された商品にまでさかのぼる拘束力を持つ。

 施行当初は勢いのあった機能性表示食品だが、疑義などの多くの問題が浮上することでやや勢いを弱めているようだ。企業や商品、保健用途や配合成分によって違いはあるものの、市場の動きは一段落したとの見方もある。同じ成分、似たような保健用途の商品が増え、市場ではコモディティ化も進んでいる。また、受理商品の後追いが増えたことで、エビデンスに不安のある商品も少なからず出回っている。
 関係者のなかには、「ホンモノの機能性表示食品が市場に出回るのは17年春以降だろう」との冷めた言葉も。ガイドラインがより厳しくなることで、本来のエビデンスを備えた機能性表示食品が投入されるのは、改正ガイドラインが施行される17年春以降になるというわけだ。

 果たして17年はどのような企業が伸びるのか? 臨床試験などを通じ、確固たるエビデンスを備えたホンモノの原料で、ホンモノの機能性表示食品を製造・販売する「企業モラル」も備えた事業者に注目したいものだ。

【田代 宏】

 

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