2024年03月29日( 金 )

ソレキアのTOB価格の引き上げ合戦!佐々木ベジ氏と富士通が白熱バトル(前)

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 佐々木ベジ氏(62)。懐かしい名前を目にした。バブルの時代「秋葉原の風雲児」として一世を風靡した人物だ。現在は、東証二部上場のプラスチック押出機製作のフリージア・マクロス(株)のオーナー。その佐々木氏が「兜町の風雲児」として再び脚光を浴びることになった。東証ジャスダック上場の独立系電子部品商社ソレキア(株)を巡り、富士通(株)とTOB(株式公開買い付け)価格の引き上げ合戦を繰り広げている。4月28日に、どちらに軍配が上がるかが決まる。

佐々木氏の乗っ取りに、富士通が「ホワイトナイト」として登場

 発端は2月3日。フリージア・マクロスの会長である佐々木ベジ氏が、ソレキアに対してTOBを実施することが、関東財務局に提出した届け書で明らかになった。買い付け価格は2,800円で、最大36.4万株(発行済み株式数の36%)を10.2億円で買い付ける。買い付け期間は4月14日。
 ソレキアは佐々木氏による乗っ取りに猛反発。富士通に「ホワイトナイト」を頼んだ。
 ソレキアは1958年に富士通の特約店、富士電機の取扱店、小林電材として創業(2002年に現商号に変更)。1990年に店頭公開を行い、現在は東証ジャスダックに上場している。
 ソレキアの2017年3月期の連結決算は、売上高が202億円(16年3月期201億円)、営業利益は2.2億円の黒字(同1.4億円の赤字)、純利益は1.1億円の黒字(同1.9億円の赤字)の見込み。電子カルテなど医療情報システムが伸び、首都圏でシステムエンジニアリングサービスが好調。退職関連費用が減り、最終損益は黒字に転換する。
 フリージア・マクロスはソレキア株の5.1%を所有する3位の株主、富士通は2.7%を所有する9位の株主だ(16年9月末現在、自己株式は控除)。

TOB価格の引き上げがエスカレート

 富士通は3月16日、ソレキアをTOBで完全子会社化すると発表した。TOB価格は1株3,500円。佐々木氏が提示したTOB価格2,800円より700円高く設定した。買収額は25億円。TOB期間は3月17日から4月28日まで。
 敵対的買収を仕掛ける佐々木氏と、「ホワイトナイト」として友好的買収を行なう富士通のTOBの引き上げ合戦の火蓋が切った。
 佐々木氏はすかさず3月21日、TOB価格を2,800円から3,700円に引き上げた。富士通の3,500円より200円高い。
 対抗して富士通は3月29日、TOB価格を3,500円から4,000円に引き上げた。佐々木氏より300円高い。買収総額を25億円から29億円に変更。
 佐々木氏は3月31日、TOB価格を4,000円から4,500円に引き上げた。富士通より500円高い。TOB期間を4月14日より4月19日に変更。
 すると富士通は4月5日、TOB価格を4,000円から5,000円に引き上げた。佐々木氏より500円高い。買収総額を29億円から36億円に変更。
 直ちに佐々木氏は4月12日、TOB価格を4,500円から5,300円に引き上げた。富士通より300円高い。TOB期間を4月19日までを4月28日に変更した。
 佐々木氏がTOBを発表する直前のソレキアの株価は1,942円。TOB価格の引き上げ合戦で株価は急騰。4月20日の終値は5,430円と2.8倍に上昇している。
 富士通はTOB価格を引き上げるのか、TOB合戦から降りるのか。富士通が引き上げれば、佐々木氏はさらに引き上げるのか。TOB期間の締め切りである4月28日の直前まで、両者の腹の探り合いが続く。

(つづく)
【森村 和男】

 

(後)

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