2024年04月24日( 水 )

変化する人と車の関係~福岡モーターショー2017

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ハイブリッドカーレースWECに参戦したトヨタのレーシングカー

 12月15日から4日間、福岡国際センター、マリンメッセ福岡、福岡国際会議場は多くのモーターファンで溢れかえっていた。福岡モーターショー2017が開催されていたからである。福岡国際センターの前には自衛隊の車両が設置、レッドブルのロゴが入ったDJブースが設置されたRV車からはEDMを中心とした音楽が鳴らされ会場入りする前から期待度をMAXに高めていた。今回、会場が3カ所に分けられており、国際センターには外国車メーカー、マリンメッセには国産車メーカーがブースを連ね、国際会議場ではトークセッションなどイベントが開催された。

 国際センターにはマクラーレン社、ランボルギーニ社やマセラッティ社、アストンマーティン社、ベントレー社、ロールスロイス社などがスーパーカー、高級セダンなどを展示。普段なかなか目にすることのできない車を、観客は興奮した様子で見入っていた。とくに注目を集めていたのがテスラモーター社。電気自動車の特性を生かし、本来エンジンが載っているフロントボンネットも物が入れられるトランクスペースになっている。モーターはエンジンに比べて圧倒的に小さくすることができるため、そのような構造が可能となったのだ。そのほか、外国車はすでに市販されている(といっても高級車なのでめったに目にする機会はない)自動車を中心に展示がなされ、観客はため息をつきながらうっとりと見惚れていた。

レッドブルは様々なRVを改造し、DJブースを設けて音楽を流していた

 マリンメッセでは国産車メーカーの展示・プレゼンテーションが行われた。多くの観客は国産メーカーによる「未来のクルマ」の展示を楽しみに来場しているのではなかろうか。少なくとも筆者はそのクチである。入口をくぐるとレクサスのLS、LCが出迎える。中に進むと日産、ホンダ、トヨタ、マツダなど、国内メーカーのコンセプトカーがずらりと並んでいた。総じていえるのは、やはり自動運転技術と電気自動車へのシフトである。

 顕著な例は日産だ。IMxと名付けられた車が壇上に挙げられ、ひときわ強い輝きを見せていた。名前のIMはインテリジェントモビリティの略語。この車は福岡モーターショーに先駆けて開催された東京モーターショーで世界初お披露目となったものだ。日産リーフに搭載されている「プロパイロット」をさらに進化させ、完全な自動運転を実現。車任せでの移動が可能となる。プロパイロットモードのスイッチを押すと、ハンドルが格納され、シートがリクライニングし、ドライバーは運転を気にすることなくリラックスすることができる。

日産は自動運転を前面に打ち出した

トヨタの水素燃料電池車

 トヨタは燃料電池自動車のコンセプトモデルFine-comfort Rideを展示。水素燃料電池で電気を起こし、モーターを動かす燃料電池車に快適性をプラスしたコンセプトが秀逸だ。窓ガラスには情報が投影され、景色を透かしながらさまざまな情報を見ることができる。
 ホンダ車はかわいらしい電気自動車を展示。最新コンセプトカーなのに、懐かしいイメージの外観が特徴的だ。ガソリン車では外気取り入れ口となるグリル部分に、さまざまなインフォメーションが掲示される。スポーツタイプとコンパクトカータイプの2種類が展示された。

 今回のモーターショーは従来のショーのような「実現するか分からない遠い未来の展示」ではなく、「きっと実現する近い未来の展示」になっていたように感じられた。電気自動車による未来、自動運転による未来。テクノロジーはここまで進化している、車と人の関わり方は大きく変わる。そんな近い未来を感じさせてくれたモーターショーだった。でもやっぱり、遠い未来にワクワクしたいなぁ、と今回の展示に少しがっかりしたのは、ここだけの話し。次のモーターショーではどのような未来を見せてくれるのか。今から楽しみだ。

ホンダのEVコンセプトカー。グリルがインフォメーションバーになっている

テスラモーターズのEVはガルウィングとトランクルームが目を引く

【柳 茂嘉】

 

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