2024年04月19日( 金 )

迫りくる巨大地震・火山噴火「リング・オブ・ファイア」の脅威(前)

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国際政治経済学者 浜田 和幸 氏

 このところ世界各地でマグニチュード7を超える巨大な地震が相次いで発生している。過去100年の世界における巨大な地震の発生頻度を調べてみると意外な事実が判明する。それは1900年から2000年まではマグニチュード6を超える地震の数は年間10件を超えることがほとんどなかった。ところが01年以降、今日に至るまで多い時には年間70件、平均すると30件以上もの巨大な地震が発生している。

脅かされるバヌアツ

 地震や火山の噴火には「自然界の怒り」のようなものを感じる。我が国を襲った阪神淡路大震災や東日本大震災はいうに及ばず、直近では17年夏以降、カリブ海からアメリカ各地を襲った巨大ハリケーンの爪痕が癒えない間に、メキシコでは巨大地震が相次いで発生するという有様だ。

 メキシコでは1985年にマグニチュード8.0の地震が起き、3万人が死亡した。そのため、メキシコ政府は同じ悲劇を繰り返さないために、世界初の地震予知・警報システムを開発。そのかいあって、2017年に発生したマグニチュード8.1と7.1の巨大地震に際には、発生の危険を知らせる警報が作動し、多くの国民が安全な場所へ避難することができた。ほんの数分しか避難の時間はなかったようだが、その数分が生死を分けたといわれる。
 日本でも同様の警報システムが必要であることは論を待たない。

 火山噴火や地震が起きない日はない。17年末には、インドネシアのバリ島や南太平洋に位置するバヌアツでの火山噴火の恐れが高まったとの警告が相次いだ。その結果、バリ島では観光客が激減し、バヌアツでは住民の7割が緊急避難を余儀なくされる事態へ。実際、17年秋以降、バリ島ではマグニチュード6.1の地震も発生し、ついには火山噴火となった。

 こうした自然災害は大きな経済的損失をもたらし、インドネシア・ジョコ政権にとっては頭痛のタネとなっている。なぜなら、世界的なリゾート地であるバリ島には年間500万人もの外国人観光客が押し寄せていた。しかし、今回の53年ぶりのアグン山(標高3,142m)の大噴火でバリ島の玄関口である国際空港は閉鎖。1日あたり400便超が欠航した。ホテルのキャンセルも続く。現時点での経済的損失は

2,000億円に達する模様だ。

 今のところバリ島では死傷者は出ていないが、1963年の噴火では1,600人の命が失われた。その記憶は鮮明で、すでに地元住民は10万人以上が安全地帯に避難している。現地の専門家の見立てでは「これからさらに大きな噴火が起きる可能性が高い」とのこと。インドネシアの政府機関である国家災害管理庁(BNPB)は、「今後数週間に渡り溶岩、火山灰、硫黄、二酸化炭素が噴き出る恐れがある」と警告する。

自然現象ではない災害

 こうした異常とまでいえそうな巨大地震や火山の噴火の頻発現象は単なる自然現象とは言い難いのではないか。何らかの人工的な要因が隠されていると疑ってみる必要もありそうだ。というのも、巨大地震が発生するたびに、歴代の駐日アメリカ大使から「アメリカが開発した地震予知装置や後付けが簡単にできる耐震装置を買わないか」との申し出が繰り返し行われているからである。

 曰く「今後30年以内に東京でマグニチュード8程度の大地震が起こる確率は50%と見積もられている」。つまり、アメリカ政府の説明によれば、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の地球物理学者ボロック教授の率いる研究グループでは「数カ月先の地震を正確に予知できる技術を開発している」とのこと。アメリカの対日売り込み攻勢は北朝鮮からの攻撃を想定した迎撃ミサイルシステムだけではないことだけはたしかである。

 これこそ「戦争も自然災害もビジネスチャンス」という発想に他ならない。その点、思い出されるのが、アメリカのコーエン元国防長官による1997年4月の記者会見での発言である。「遠く離れた場所から電磁波を通して地震や火山の噴火を引き起こすことができる」というわけだ。

 実はこうした自然災害を人工的に引き起こす環境兵器は国連でもアメリカ議会でも使用禁止が長年検討されてきた。しかし、今日に至るもそうした法案は成立していない。『プラネット・アース』の著者バーテル博士の説によれば、「現在世界各地で観測されている巨大地震のうち7割は地下核実験や人工的な要因が引き金となって引き起こされている」という。

 日本人の常識では考えられないことであろう。しかし、国連総会ではこうした事態を重く受け止め76年以降、毎年のように環境改変兵器の開発、および使用を禁止する条約案が提出されてはいるものの、いまだ可決されるには至っていない。

 こうした提案が相次いでなされている背景には現実に地震や津波を引き起こす兵器の開発が進んでいるからである。我々日本人は台風にせよ地震や火山噴火を自然災害と頭から信じ込んでいる節があるが、こうした国際政治や軍事技術のぶつかり合う現実から目を背けているわけにはいかないだろう。

(つづく)

<プロフィール>
hamada_prf浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。
今年7月にネット出版した原田翔太氏との共著『未来予見〜「未来が見える人」は何をやっているのか?21世紀版知的未来学入門~』(ユナイテッドリンクスジャパン)がアマゾンでベストセラーに。

 

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