2024年04月16日( 火 )

「日本らしさ」を磨き、新たなフィールドで挑戦(後)

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福岡パッケージ(株)

海外事業で腕を振るう人材求む

 庄嶋社長は、「今求めているのは、この海外事業で雄飛してくれる人材です」と言葉に力を込める。現在ハワイに8人、ロサンゼルスに4人のスタッフを抱える同社の海外事業だが、今後のさらなる躍進のために力のある人材を求めているのだ。

 必要な条件は、「英語ができること(TOEIC700~800程度)、そして当社で2年ほどパッケージ事業について仕事をしながら学び、スキルと知識を蓄えてくれること」。未経験の新卒でも、中途採用でも、経歴や年齢は問わない。「2年や3年の短期駐在ではなく、アメリカにビジネス人生を賭けようと思ってくれる人が欲しいですね」と庄嶋社長の期待は膨らむ。

 というのも、現在福岡パッケージのアメリカ事業は大きな飛躍の時を迎えているのだ。ハワイ最大のショッピングモール、アラモアナショッピングセンターに5万5,000m2の日本屋台村・JAPAN VILLAGE WALK を展開するSHIROKIYA HOLDINGS, INC.は同社ハワイ支社最大の顧客だ。このSHIROKIYAが、ニューヨーク・マンハッタンのトランプ・タワーに出店するのだという。当然、同社もニューヨーク進出を、となるわけだが、「そうなるとやはり人が足りない」のが実情だという。現在はハワイの売上が米本土のロサンゼルスを上回る状態が続いているが、ゆくゆくは米本土に広く展開し、ロサンゼルス支社・ハワイ支店というバランスを目指したいところだ。

 ビジネス目的でアメリカに滞在する日本人は、最大7年の期限がついたLビザ、または貿易業の管理職・役員に適用されるEビザ(無期限で更新可能)を取得するのが一般的。どちらも、本人はもちろん雇用する会社も厳しい条件をクリアしなければならない。「ビザ取得には雇用する企業側としても大きな労力を払いますから、やはり腰を据えてアメリカで頑張りたいという人材がほしいですね。最終的には永住権を獲得してアメリカに骨をうずめてもいい、という覚悟ができる人です」。同社のアメリカ事業を背負い、大きく発展させられる人材が強く求められている。

彩りの文化がビジネスチャンス生む

 海外事業により大きく羽ばたこうとしている同社にとっての強み、それは日本ならではのセンスとこだわりをパッケージ製品としてかたちにし、市場に届け続けてきたことだ。そしてこれからも、この「日本らしさ」を磨き、付加価値をつけるための武器にしていく。

 「ハワイに進出して気づいたことは、『お弁当文化』に代表される日本食の繊細さです。コンビニやスーパーの店頭で売られているお弁当のパッケージを見ると、細かく仕切りがつくられていることがわかります。ご飯はここ、おかずはここ、箸休めやお漬物はここと、大小さまざまな仕切りがありますね。お寿司のパッケージであれば、お醤油を入れるための仕切りまであるのがわかります。細かな配膳が日本食ならではの美を生み出します。さらに、容器自体にも黒地に金で文様を入れるなど、器としての美しさを実現しています」。対してアメリカのカフェテリアなどにある容器は、多くて3つ、ほとんどは2分割。しかも場合によっては、仕切りを無視してスパゲッティをドサッと乗せて配膳終わり、というケースもある。中華料理はデリバリーやテイクアウトなどで日本食より先行しているが、焼きそばを紙のボックスに入れて出すなど「美」を重視しているとは思えない。

 盛りつけと配膳、器の美しさは、「和食の美」の大きな要素だ。これを大事にする心は、日本を離れて長いハワイの日系アメリカ人にも届いている。

 「ハワイには、日本にルーツをもつ人々がたくさん住んでおられます。お話を聞くと、『ウチはもともと広島でね……』など、日本出身であることに誇りをもつ方も多い。こういう方々に、日本食の良さを体現した弊社のパッケージは非常に喜ばれているのです」。一方、ロサンゼルスなどの大都会に住む日本人は、アメリカのライフスタイルに順応するタイプの人が多く、そこに思い入れをもたないことも多いのだとか。

 海外という新しいフィールドに挑戦するために、改めて自分たちが生まれた日本の良さを再確認する。日本の食がアメリカで市民権を確立していくことで、その優れた美しさを演出する容器を提供する福岡パッケージにも、さらなるビジネスチャンスが待ち受けている。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:庄嶋 毅
所在地:福岡県糟屋郡久山町久原工業団地2843
設 立:2000年2月
資本金:1,000万円
TEL:092-976-2202
URL:http://www.fukupa.co.jp

<プロフィール>
庄嶋 毅(しょうじま・つよし)
 1968年12月、福岡県生まれ。福岡大学卒。91年4月、地場広告代理店の(株)三広に入社後、93年にフクパグループに入社。2000年2月、父・厚生氏より事業部を買い取り、福岡パッケージ(株)を設立し、現在に至る。趣味はテニス、ゴルフ。

 
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