2024年04月26日( 金 )

創業者から幹部、そして社員へ、新しい世代へと受け継がれる想いとは(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(有)二鶴堂

40年ぶりにCMをリニューアル

 テレビ放送のデジタル化にともない、長年にわたって放映された「博多の女」のCMを一昨年、40年ぶりにリニューアルした。

 「博多の女」のCMといえば、SL列車(C57蒸気機関車)に乗った男子学生が、着物姿の女性に見送られるもの。その際に女性の両手に挙げられた「博多の女」が印象的な作品で、福岡県民なら誰もが知る定番のCMだ。発売45周年を迎え、ブランドを後世に残そうと、真木社長の閃きで「40年前と同じシチュエーションで撮ろう!」とタレントも一新し、企画がスタート。しかし、当時のイメージを踏襲させるには、情報が少なく、撮影場所を探し当てるのに苦労する。また、新山口~津和野間(山口線)を走るSLが土・日・祝日、1日1往復の運行のため、ワンチャンスしかない緊迫した状況の下、9月上旬に撮影は無事終了した。撮影後も編曲・編集といった作業も、ブランドを踏襲させることに細心の注意を払いながら、慎重に作業が進められた。新CMは、11月末に無事完成。真木社長も納得する仕上りとなり、創業者である橋本ツユ子名誉会長(当時)のお墨付きももらえた。昔からの伝統を引き継ぎ、未来へと繋ぐ作品となっている。

今後は人財採用にも注力へ

 現在、同社の売上の38%を占めるのが「博多の女」シリーズ。販売開始時から変わらぬ美味しさを誇る「プレーン味」を始め、今では、「あまおう苺ミルク味」「八女抹茶味」「バナナミルク味」「ハチミツレモン味」の合計5つのフレーバーで展開している。店舗菓子業界には、新しい味の派生商品を出すと既存商品の売上のパイが奪われるといった傾向があるのだが、プレーンの売れ行きは落ちず、4つのフレーバーが売上にプラスされるといった好循環となっている。

 だが、製菓を含めた食品業界で慢性的な問題となっている人財不足に同社も直面しているそうだ。佐賀工場では今、人財確保に苦慮しているとのこと。「優秀な方ならヘッドハントをしてでも確保したい」(真木社長)。とくに採用に関しては、今後も力を注いでいく方針だ。

 同社には福利厚生として年1回の社員旅行がある。昨年は台湾へ複数の班に分かれて行った。過去には大阪のUSJ、神奈川の箱根、沖縄などにも行った。女性が多く、輝ける環境であり、現在も育休で3名が休みを取っている。その背景には、良い会社をつくるために、橋本会長、真木社長、次世代経営塾の幹部ら社員が一体となって会社組織をつくり上げているところにある。風通しの良い企業をつくるために、さまざまな困難を経営陣と社員が一体となって乗り越えてきた歴史があるからこそ今があるのだろう。ツユ子氏の逝去を受け、創業者らの想いを胸に、組織の一体感がさらに増した印象を受けた。今後のさらなる躍進に期待したい。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:橋本 由紀子
所在地:福岡市東区馬出6-15-21
設 立:1952年12月
資本金:4,100万円
TEL:092-621-8881
URL:https://www.nikakudou.co.jp

<プロフィール>
橋本 由紀子(はしもと・ゆきこ)
 72年に(有)二鶴堂に入社。社長を経て15年10月に代表取締役会長。

<プロフィール>
真木 聡(まき・さとし)
 統括部長を経て13年から副社長。15年10月に取締役社長に就任。

 
(前)

関連キーワード

関連記事