トラブル続くライザップ子会社 断熱施工の実質子会社でも
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RIZAP(ライザップ)グループ子会社・タツミプランニングの米山茂社長およびタツミプランニングの実質子会社であるエコモコが、役員報酬などが未払いとなっているとエコモコの元社長から訴えられていたことがわかった。
エコモコは、タツミプランニング(以下、タツミ)から13年6月に分社化された断熱材の販売施工会社。ウレタン吹付けによる断熱工事を得意とし、断熱性能や気密性の高さを売りにしていた。米山氏は、タツミがRIZAPグループ傘下となった2016年まで、エコモコのオーナー兼取締役を務めていたが、グループ傘下入りとともに株式を譲渡。ホームページの沿革では、16年2月にエコモコが「独立企業化」したと記載されている。
しかし、関係者によると、「エコモコの株式は前代表の石渡氏に譲渡されているが、実質的オーナーは米山氏のまま」であるといい、外形上はエコモコから離れたように見えるが、実質的には実権を握ったままのようだ。訴訟の原告は、タツミの元社員でエコモコの社長を務めていた赤川勉氏。赤川氏はリフォーム事業部部長としてタツミに1年間在籍した後、実質的オーナーである米山氏に請われて16年5月にエコモコの代表取締役に就任し、業績や財務体質の改善に努めていた。
エコモコは16年5月期に最終赤字を計上。訴状によれば、仕入れ状況の精査をすすめるなかで、赤川氏はいくつかの重大な問題に気づいたという。問題の1つは、新築戸建の断熱施工おける原料の不正使用。戸建販売業者から受注していた断熱施工において、断熱材が指定原料ではないだけでなく、一部では防火認定されてない原料を使用していたというのだ。さらに、これが赤字の要因にもなっていた。赤川氏はこれらの事実を米山氏に報告したが、これがきっかけとなり赤川氏は取締役を退任することとなる。
訴状によれば、赤川氏が報告したのは17年3月1日および6日だったが、8日には次のように米山氏に迫られた。
―業績不振は赤川氏の責任である
―エコモコはタツミ傘下に入るから代表を継続する意味はない
―形式上は辞任とするように結果的に、赤川氏は8日付で取締役を退任した。
17年8月、赤川氏は横浜地裁に提訴。退任にともなう未払いの役員報酬や、退任後の誹謗中傷に対する損害賠償などをエコモコと米山氏に求めている。
なお、被告の米山氏およびエコモコは原料の不正使用について、本訴訟とは無関係として認否を留保しながらも不正は「存在しない」と主張。赤川氏の代表取締役就任および退任の経緯については、米山氏が退任届を提示したことは認めながらも就任や辞任を強要したことは否定し、未払いの役員報酬についても報酬額などが「事実と反する」として争っている。RIZAPグループは、16年2月にタツミの発行済株式の96%を25億円あまりで米山氏から取得していた。タツミは、下請いじめともとられかねない工事代金に関するトラブルが確認されているほか、シェアハウス「かぼちゃの馬車」を販売していたスマートデイズからキックバックを受け取っていたことが、「詐欺的スキーム」に関与していたとして投資家(オーナー)から訴えられている。
相次ぐM&Aにより事業規模を拡大し、東証一部を目指すRIZAPグループの勢いに、子会社とその代表者が水を差す格好となっている。【永上 隼人】
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