2024年11月01日( 金 )

「原料で不正あった」ライザップ実質孫会社の元従業員が告白

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 RIZAP(ライザップ)グループ子会社・タツミプランニング(以下、タツミ)の米山茂社長およびタツミの実質子会社であるエコモコが、エコモコの元社長・赤川氏から訴えられていた事件(詳細はコチラ)。赤川氏は退任に至る経緯で、「断熱原料の不正使用があった」ことについても主張していたが、被告の米山氏とエコモコは、本訴訟とは無関係として認否を留保しながらも不正は存在しないと主張していた。
 しかし、現場で断熱施工を任されていたエコモコの元従業員・大村氏(仮名・30代)への取材で、一部取引先における断熱施工に関して、使用した断熱材が指定原料と異なっていただけでなく、国交省の防火認定を受けていないものを使用していたことがわかった。

 原料の不正使用について、大村氏は次のように話す。
 「ある取引先から指定された原料はP社のものだったが、実際に使用していたのはH社の原料だった。P社のものは防火認定のある原料だが、H社のものは工法に関わらず防火認定がない。H社の原料を使用する際、工事部長から『現場に搬入するときはトラックに幌をかけるように』との指示があった。退職した2017年初旬まで、少なくとも1年以上はこのようなことが続いていた。防火認定のない原料を使っていることを取引先から隠すためだったと思う」

 このことだけでなく、赤川氏が社長を退任するに至った経緯にも不信感を覚えた大村氏は、エコモコへ退職を申し出たが、ここでもエコモコがタツミの支配下にあったことが伺えた。大村氏は、「タツミがRIZAPグループ傘下となった後も、エコモコは実質的にタツミの子会社だった。退職の意向をエコモコに示した際も、タツミの従業員から慰留の申し出があった」と話す。さらに、タツミが受注した建物の断熱施工もエコモコが請け負っていたことから、「不正を外部に漏らされることを恐れたのではないか」(大村氏)と慰留された理由を分析する。

 RIZAPグループは、19年3月期の中間決算で営業赤字に転落。赤字の理由の1つに「タツミのメガソーラー事業の経営再建が当初の見込みより遅れている」ことを挙げ、タツミは上期で5億円の損失を計上したことも発表していた。RIZAPグループは、短期的な投資回収、収益改善が難しい事業、想定していたグループシナジーが見込めない事業については、「積極的に縮小・撤退・売却を検討」する戦略を描いている。

 タツミがRIZAPグループから外れることになれば、その影響はエコモコにもおよぶ。また、それだけでなく、エコモコによる原料の不正使用は数百棟の現場で行われていたと見られており、これがRIZAPグループにおよぶ可能性も否定できない。14日に赤字転落を発表してからは、株価が2分の1程度にまで下落しており、子会社の業績だけでなく、実質的な孫会社の不正がさらに追い打ちをかける格好となりそうだ。

【永上 隼人】

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