新たなステージ迎えた再エネの未来(7)
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2030年、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が掲げる、太陽光発電だけで100GW超、5,700万世帯分の電気がまかなえる時代は来るのか。原発39基分の電気が太陽光だけで生み出せるようになれば、日本のエネルギー自給率も大幅に上がり、海外に依存しない国産電力ができるかもしれない。しかし、太陽光のみならず再生可能エネルギーの普及が進む一方で、ハードルはまだまだある。本シリーズでは新たなステージを迎えた再生可能エネルギーの未来について、現在のトレンドから読み解いていきたい。
原料確保のため一連托生に
再生可能エネルギー活用の中で、純国産電力という視点と同時に、新たな産業創出による地域活性化という視点で議論される。そのなかで、「太陽光発電では地域の雇用は生まれない」とよくいわれる。太陽光パネル製造は中国やドイツなど海外が多く、設備設置は既存の建設会社などが手がけ、メンテナンスも遠隔監視が多いからだ。
そのため、再エネによる地域活性化という点ではバイオマス発電が注目されている。地元の森林から原料を取り出し、地元に発電所を新設して発電し、地域でその電気を消費する。そこで地元の人たちの雇用が生まれるためだ。だが、今年1月から再生可能エネルギーの接続保留を解消するために、経済産業省は新たな出力抑制ルールを定めた。出力抑制の順番として、1番目に化石燃料混焼バイオマスを含む火力発電設備、2番目にバイオマス専焼発電設備、3番目に地域型バイオマス発電設備、その後に太陽光や風力がくるように定められた。
「原料の8割以上が国産」ならば地域型バイオマス発電とみなされ出力抑制かかりにくくなる。そんななか、林野庁を中心として、より国産材を使うような方向性が模索されている。建築基準法の改正により、学校などの公共建築物は木造化を進め、高層の住宅も建てられるようにしようという議論も出てきている。
木を使う文化が広がれば林業が活性化し、長期的な産業の育成と地域活性化につながる。
これまで未利用木質バイオマスの固定価格買取制度(FIT)は、設備容量に関係なく32円だった。そのため、スケールメリットを活かせる大規模なバイオマス発電が主流だった。ところが今年3月、2,000kW未満なら40円という枠が新設された。そのため小規模バイオマスも今後伸びていくと期待されている。ただ、FITを機に発電所が一気に増えたため、原料である木質資源が取り合いになっているという。「とくに発電所が多い九州地方ではその動きが顕著だ」と業界関係者は語る。そのため、金融機関の中には「原料の確保が不安定なのに、本当に安定した電源なのか」という見方も出ており、融資の審査が厳しくなっているとも聞かれる。
たとえば新興の発電事業者で、コストダウンを図った大規模な発電施設を建てるようなところは、今まで5,000円/m3だったのを7,000円/m3と既存の事業者より原料を高く買えるような余力が出てくる。そのとき、森林組合と既存の発電事業者との間にまったく出資関係がなければ、高く買い取る新興事業者の方に原料が集中することになる。
そのため最近では、既存の発電事業者が森林組合など地元から出資してもらって新会社を作り、長期契約によって原料を確保するような動きも出てきているという。そこに原料を運ぶ運輸会社なども加わり、一蓮托生で安定した発電を目指しているようだ。【大根田 康介】
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