集団指導体制へ移行も、まとまらない安倍派の迷走(1)
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自民党内の最大派閥である安倍派の迷走がとまらない。17日の総会で当面、集団指導体制で派閥を運営することを決めた。自民党安倍派はどうなっていくのか。その動向をウォッチングしていく。
難航する会長選任
自民党本部で17日に総会を開催した清和政策研究会(以下、安倍派)は、現在、会長代理を務める塩谷立・元文部科学大臣を座長として、松野博一・官房長官や萩生田光一・政調会長など安倍派有力議員のいわゆる「5人衆」と閣僚経験者による「常任幹事会」を設けることが決まった。結局、昨年7月の安倍晋三・元首相銃撃事件以降、新会長をめぐる安倍派内の争いは決着がつくことはなかった。というのも、もし5人衆をはじめ、いずれかが会長につけば、「派閥の分裂は避けられない」(自民党関係者)というのだ。
安倍元首相ほどのカリスマ性をもつ政治家が派内にいないのが現実で、他派閥とも対等に渡り合え、かついわゆる岩盤支持層を取り込めるのかなど、まだまだ安倍派内の混乱は収まらないようだ。
靖国参拝は岩盤支持層へのアピール
8月15日は終戦の日だが、靖国神社に萩生田政調会長らが参拝した。安倍元首相の強力な支持基盤であった保守派団体「日本会議」や「神道政治連盟」をはじめとする岩盤保守層は、首相の靖国神社への参拝を長年求めてきた。萩生田氏の参拝は、自身の思想信条はもちろん、支持層を意識したものであるだろう。
安倍元首相は在任中の2013年12月末に靖国神社を参拝したが、中国・韓国の反発ばかりでなくアメリカの「失望」表明もあり、翌年以降は私費で玉串料を奉納したが、参拝は首相退任後の21年8月15日まで行っていない。先の戦争に対する評価や歴史認識がかかわるだけに、首相をはじめ政治家の靖国参拝は政治問題となってきた。しかし、岩盤支持層を取り込む上で、終戦の日に靖国神社を参拝することは重要なのである。
一方で岸田文雄首相は、安倍元首相と同じく私費で玉串料を奉納した。それに対して、韓国や中国の反発はあるものの、自民党内でリベラルな宏池会出身の岸田首相は、激しい批判までは受けていない。自民党総裁として、党の支持基盤を無視するわけにはいかず、これまでも憲法改正に言及するなどうまく立ち回ってきている。
そういう首相にとって現在の安倍派の状況は、ある意味で好都合でもある。松野氏を官房長官に、萩生田氏を政調会長に取り込んだのもその一手であろうし、このまま9月に予定されるとみられる内閣改造・党役員人事で、安倍派の横やりを防ぐことができれば、自分の思い通りになると考えているふしがある。
そのあたりを含めて次回、安倍派内の動きをさらに見ていきたい。
【近藤 将勝】
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