『脊振の自然に魅せられて』「花をめぐる山歩きで素敵な親子に遭遇」(前)
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5月2日は脊振山系のメインルートである椎原峠登山口―車谷―矢筈峠―唐人の舞―椎原峠―登山口戻りのコースを歩いた。設置した道標の確認をしつつ、動画で脊振のルート案内作成をするのが目的であった。
沢沿いの谷を歩くとミソサザイのかん高い澄んだ鳴き声が聞こえていた。ミソサザイは雀ぐらいの大きさで、尾は短く、全身茶色で見た目は地味な野鳥である。かん高い鳴き声が、谷中にこだましている。筆者はミソサザイの鳴き声に元気をもらう。ミソサザイは岩に巣をつくっている。
縦走路に入ると、谷間から噴き上げる風がブナの若葉を揺らしていた。風とともにウグイスの鳴き声が聞こえてきた。筆者を歓迎するように鳴いていた。こちらも「ケキヨ、ケキヨ」と挨拶をした。
縦走路に咲く脊振を代表する花、ミツバツツジは見頃が終わりつつあり、ほとんどしおれていたが、わずかに花を残している枝もあった。今年は花の開花が1週間ほど早かったようだ。
さらに縦走路を進む。縦走路からわずかに入り込んだ場所にシャクナゲの森がある。この森にさしかかり、縦走路からシャクナゲの森に目をやると淡いピンクの花が見えた。思わず「咲いとった」と博多弁で呟いた。
50m先に咲くシャクナゲに会いに灌木のなかを進む。前日が雨だったので、シャクナゲは風呂上がりの女性を思わせるようななまめかしい姿を見せていた。山の花は雨上がりが一番美しく、写真撮影には太陽の反射もなく濡れた花に魅力を感じる。そんな花との遭遇で花の撮影を続けてきた。シャクナゲはいつもよりたくさんの花を咲かせていた。
ふっくらとしたシャクナゲの蕾もあり、映えるシャクナゲの森となっていた。シャクナゲの樹木が高いので花を見上げることになるが、しばらく静けさのなかで感動を味わった。
この日は動画だけでよいと思い愛用のデジカメを携帯しなかった。やむなくスマホで撮影した。翌3日、脊振でよく出会うYの案内で川原山にエビネを見に行った。川原山は、糸島市にある735mの低山で、人工林の杉と檜が多い山でもある。
水無鍾乳洞駐車場の手前に登山口がある。山頂からは博多湾をはじめ糸島半島の展望が楽しめた。脊振の縦走路では見られないカノコソウも山頂辺りにたくさん咲いていた。日が差し、草刈りの手入れもされ、開けた山頂でのんびりできた。
エビネは人工林のなかの急斜面を100mも下った場所にたくさん咲いていた。ちょうど見頃であった。Yでないと見つけることができない場所であった。エビネ類は人に見つかるとほとんど盗掘され数を減少させている。今は貴重なラン科の植物である。だからエビネに会うと感動を覚える。
案内役のYは道なき道を歩くのが大好きな人物である。GPS機器を携帯し、地図をパソコンでプロットし、地図を見ながら歩き回っている。あと少しで地球一周の距離になるらしい。
(つづく)
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行関連キーワード
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