2024年04月16日( 火 )

グループ内の組織力強化が私の役目(後)~上村建設(株)上村英輔常務

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 九州屈指の施工実績を誇る、地場ゼネコン「上村建設」。賃貸マンションやアパートの企画・設計施工・管理をメインに業績を伸ばしてきた同社が、昨年グループ会社「ハッピーハウス」設立20周年の節目に、分譲マンション「ネオグレイス吉塚」の建設、販売を手がけた。同物件のプロジェクトリーダーでもある、上村英輔常務取締役にグループの現状を聞いた。

これまでになかった大幅な組織改編

 ――2年後の設立60周年を見据えた課題を挙げると?

 上村 設立60周年といえども、節目の1つと考えています。ただし2年後には、消費増税が控えており、駆け込み需要が見込まれます。現状の施工能力は、年間200〜230億円ですので、受注と施工のバランスをしっかりと管理しなければオーナーさまにご迷惑をお掛けしてしまう。そうならないような受注体制・施工体制を、前回消費増税時の教訓を生かして、準備する必要があると思います。

 ――今年2月に大幅な組織改編を行われたと聞きました。

上村建設(株) 上村 英輔 常務取締役

 上村 これまでになかった部長・支店長レベルの異動を行いました。支店が8つありますが、支店長と話をしていて感じたのが組織の硬直化でした。同じ支店に20年も勤務している社員もおり、本社との風通しなどを考えると、このままでよいのかと感じていました。属人的な営業に頼っている部分もありましたので、硬直化した組織に刺激を与える必要があると判断しました。「あの人が抜けたから売上が下がってしまった」という状況があっては、企業は永続していかない。組織改編については、営業や工事部門からも意見を聞いて調整を行いました。

 ――上村常務だからこそ、そして今だからこそできた改編ですね。

 上村 これまで常識としていたことを変えられるタイミングだったのです。働き方を変えようと、今始まったばかりです。組織改編もそうですし、社内のレイアウトなども変更中です。ソフト面だけでなく、ハード面も変えて、環境づくりに投資しているところです。協力業者様にも、今回の人事が品質を高めるため、また組織が成長・発展していくための動きであることを理解していただければと思います。

社会環境の変化に対応 リニューアル部門の強化!

 ――建設業界の今後にどう対応していくのか。

 上村 人手不足は深刻ですが、「人がいない」と叫んでも仕方ない面もあります。縁あって、仕事を共にしている今の人材を生かすことを最優先にしたほうがいい。そのうえで、採用活動を行うのが理想だと思います。また、社員の定着率を高めていくためにも、風通しの良い職場環境、働きやすい設備や機器などを整えていきます。

 福岡市では、人口増化により、賃貸マンション市場は活況、金融機関の貸し出し条件も緩和され、建設需要が高まっています。しかし、将来的には少子化、人口減は避けられません。需要も減少に転じるのは目に見えています。現在は賃貸マンションの請負建築と管理が事業の軸にありますが、新築だけではなく、リニューアル事業も伸ばしていく必要があります。建設会社としての技術やノウハウがあり、ハッピーハウスとして不動産も扱える。両軸備えた会社はそれほど多くはありません。これまでは、ハッピーハウスがあったので、リニューアルを行えましたが、これでは受け身にならざるを得ません。すべての部署が、能動的に企画提案をする組織にしていきたいですね。

(了)
【東城 洋平】

 
(中)

関連記事