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売上水増しの「循環取引」にのめり込んだ日本IBM、野村総研が母体のニイウスコー (下) | 東京レポート
特別取材
2008年5月 7日 09:36

メディア・リンクス事件

 アイ社とニイウスは、メディア・リンクス事件にも加担していた。04年秋に摘発された元大証ヘラクレス上場のITベンチャー企業、メディア・リンクス(以下メディア社)の背任・粉飾決算事件である。実態なき取引の主役はメディア社の創業社長の新堂吉彦と伊藤忠商事の子会社・伊藤忠テクノサイエンス(現・伊藤忠テクノソリュージョンズ)営業部長。

 そもそもの原因は、新堂が株式上場に執着したことにあった。売上を伸ばして上場するために手を染めたのが、循環取引という禁断の麻薬。伊藤忠テクノの営業部長の指南を受けて、伝票を水増しする架空取引で売上を膨らませたことで、02年10月に首尾よく、ナスダック・ジャパン(現・ヘラクレス)への上場に漕ぎつけた。

 上場したからには売上を落とすわけにはいかない。 当初、メディア社の架空取引の相手は伊藤忠テクノだけだったが、上場を機に架空取引はエスカレート。伊藤忠テクノがIT企業の約20社に協力を依頼した。架空取引を仕切っていたのは伊藤忠テクノの3人組。そのうちの1人のYはアイ社を循環取引に参加させ、オン・ザ・エッヂ(のちライブドア)に移ってからは、同社も循環取引に噛ませて営業成績を膨らませていた。

IT業界は循環取引の温床

 大証ヘラクレスのメディア社、東証2部のアイ社、そして今回の東証2部のニイウスコー。いずれも循環取引に手を染めて経営が破たんした。循環取引はIT業界の諸悪の根源といわれながらも、なかなか改まらない。新興市場では成長性が重視されるため、上場前あるいは上場後も、売上を実績以上に見せたいという誘惑を断ち切るのが至難の業ということだ。

 循環取引がIT業界に広まったのは、それなりの理由がある。IT業界では、ソフトウェアの開発を複数の企業で請け負う同業者取引は珍しくない。開発に長期を要する商品を、納品する前に伝票だけを動かして、開発費の負担を軽減する取引が日常的に行われている。そこに営業マン同士が談合して伝票による入出金を行うスルー取引(自分が受けた注文をそのまま他社に回す口座貸しのこと。「丸投げ」という)が行われる余地がある。

 営業マンがスルー取引に走るのは、極端な売上高インセンティブ制をとっているのが一因だ。トップの実績を上げた営業マンにはボーナスが上乗せされ、ノルマを達成できなかった営業マンは自発的な退職に追い込むべく、窓際に追いやられる。営業マンはノルマを達成するため、何が何でも売り上げをつくろうとする。スルー取引に加わることは、売上を達成する最も簡単な方法だ。このようなやり方を身につけた営業マンが各社に分散して、スルー取引、循環取引仲間のネットワークが形成されたのである。

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