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経営陣全員をクビにした創業家 ノーリツ鋼機を外資系に売却か(上) | 東京レポート
特別取材
2008年7月 3日 14:52

 今年の株主総会における最大のサプライズは、東証一部に上場しているミニラボ(写真の現像・焼き付け機)のトップメーカー、ノーリツ鋼機(株)(本社:和歌山市)の総会だった。社長の昇格人事案が覆され、創業家側が提案した新経営陣が選ばれた。これにより、経営陣が総退陣するという異例の事態となった。本稿では、前回の「ミニラボのノーリツ鋼機、社長人事をめぐり創業家と対立」に続き、その実態に迫る。

創業家の指南をつとめた投資ファンド

 6月27日、和歌山市内で開かれたノーリツ鋼機(株)の株主総会において、会社側は、社長に内定していた喜田孝幸副社長(57)ら5人の取締役を選任する案を出していた。日本経済新聞は、総会の模様を次のように報じている。
 <議案説明後、株式の五〇%弱を保有する創業家側株主の代理人から修正動議が出された。中身は茶山幸彦セイコーインスツル元社長ら三人を新たな取締役候補として提案するというもの。議長の佐谷勉社長が提案の理由説明を求めると、代理人は「企業価値の向上にふさわしい」などと回答。一部株主から「もっと具体的に」との発言も出たが、やりとりは短時間で終了。挙手による採決が行われると修正動議が可決され、総会は五十七分で終了した>(6月28日号朝刊)
 意外な結果だ。喜田氏の社長昇格人事には創業家が反対しており、株主総会で否決される可能性もあると言われていた。それでも経営者側は、総会まで理解を求め続けるとコメントしていた。まさか、創業家側が経営の大混乱を招くような行動に出るとは考えられなかったためだ。

 すべての原因は、2005年に現職社長のまま90歳で死去した、創業者の西本貫一氏が遺した"いびつな"株主構成にあった。創業家を代表するのは土屋佳代氏(36)。祖父と孫ほど年齢が離れているが、貫一氏の一人娘で、西本家の資産管理会社、西本興産(株)の社長だ。西本興産は、ノーリツ鋼機の発行済み株式の41.4%を保有している筆頭株主。土屋氏個人は4.9%を保有する2位の株主。土屋氏の母親である西本美代子氏(82)の持ち株比率は1.6%。創業家で47.9%の株式を保有している。
 デジカメの普及により経営環境が激変するなか、経営陣はデジカメで富士フイルムやセイコー・エプソンとの提携を打ち出した。ミニラボの同業者と手を組むことに不満を持った創業家は、提携を主導した技術畑出身の喜田氏の昇格に怒りが爆発した。経営者側が創業家の説得に努めたのは言うまでもない。

 しかし、経営陣が読み誤ったのは、土屋氏の指南役に外資系の投資ファンドがついたことだ。土屋氏は、米カーライル・グループと組んでMBO(経営陣による買収)を実施、ノーリツ鋼機の非公開化を打ち出した。経営陣はMBOに猛反対。土屋氏は、MBOを実施するために全取締役のクビを斬り、外部から経営者を連れてきたのだ。
 創業者・貫一氏の妻、美代子氏は、娘の強引なやり方に反対し、経営陣についたというが、貫一氏が遺した株式は娘の土屋氏が握っている。圧倒的な株を支配する土屋氏の意志は絶対だ。すべては外資系が描いたシナリオ通りに進んだのである。

つづく

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