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特別取材

MBOを隠れ蓑にした錬金術(上) | 東京レポート
特別取材
2008年8月13日 11:40

ファミレスのすかいらーくと焼肉「牛角」のレックス

 すかいらーく(外食)、ワールド(衣料品)、レックス・ホールディングス(外食)、キューサイ(青汁メーカー)・・・。上場企業がMBO(経営陣が参加する自社買収)を実施すると、株式非公開化を意味する。英語で言えばゴーイング・プライベート。経営陣と投資ファンドが手を携えて、上場企業をプライベート・カンパニーに変える手法だ。 外食大手のすかいらーく(武蔵野市)は、投資ファンドと創業家が対立し、創業一族の横川竟(きわむ)社長が8月12日の臨時株主総会で解任された。日本で最大級のMBOは、どこでつまずいたのか。

創業家が錬金術に利用

 MBO(マネジメント・バイアウト)の本来の意味は「経営陣による買収」。グループからの独立やのれん分けなど、事業再編を目的として利用されてきた。2005年のワールドのMBOを機に状況は一変。「買収防衛策」として、オーナー(創業家)経営の上場企業が非上場化するための手段として使うようになった。
さらに、MBOの目的が変質していく。まとまった現金が必要になった創業家が、MBOを隠れ蓑にして株式を大量に売却に売却し、現金を得る手段に利用した。創業家による錬金術としてのMBOである。その典型が、すかいらーくであった。

 横川竟氏ら横川4兄弟の創業一族がMBOに飛びついたのは、前回に説明したように、一族の資産管理会社であるエス・エイチ・コーポレーション(SHC)が海外投資で多額の借入金を抱えて、銀行から回収を迫られたことが発端だ。
 創業一族は、SHCが保有するすかいらーく株を売却して、借入金の返済と安定株主の確保を計画。当初、三井物産に打診したが、価格面で折り合えず物産は降りた。そこで取り入れたのが、投資ファンドと組んでMBOを実施し、投資ファンドに保有株を売却することだった。SHCはすかいらーく株を売却して、借金の返済に充てたのだ。

520億円を手にした創業一族

 06年当時、創業一族が保有する株式は、横川竟氏ら横川4兄弟とSHCを合わせて約18%(2,087万株)。野村プリンシパル・ファイナンスと英CVCキャピタルパートナーズの投資ファンド2社が実施した株式公開買付価格は1株あたり2,500円。ざっと計算して520億円を創業一族が手にしたことになる。SHCの借金返済に当てても、オツリは十分残る。
 オツリで、すかいらーくに出資(出資比率は、横川社長ら経営陣、従業員合わせて2.75%)。すかいらーくが再上場すれば、上場益が転がり込む。しかも、経営者として続投は可能。いいことづくめなのだ。

 だが、すかいらーくは業績悪化で09年に予定していた再上場の可能性が消えた。再上場による資金回収というシナリオが崩れた投資ファンドは、MBO契約の違反だと横川氏の首を切った。解任される前に、横川氏は各マスコミのインタビューに応じ、「再建には5年かかると主張したが、投資会社側は3年。3年の約束でMBO契約にサインした」と語っている。だが、3年契約に応じたのは、SHCの借金返済が目的だったことに口をつぐむ。資金調達が目的で、事業の再生は、2の次、3の次でしかなかったのだ。 つづく


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