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特別取材

「国家公認人身売買」は本当だった!(その1)
特別取材
2008年12月29日 09:36

 賃金未払いやピンハネ、劣悪環境によるストレスなどから殺人、傷害事件まで発生。「こんな制度止めてしまえ」と数年前から社会問題化してきたのが外国人研修・技能実習制度だ。法務、外務、厚労、総務、経産、国交など各省庁が関わり、「国家公認人身売買」との批判もあるその実態は是正される一方、官業癒着としか思えない事例もまかり通っている。

 12月12日、宇都宮地裁足利支部は日中経済産業協同組合(東京)代表理事の小渕成康(おぶち・まさやす)被告、同組合元顧問ら3人に懲役1年から8月(ともに執行猶予3年)の有罪判決を下した。小渕被告は故・小渕恵三元首相の甥、小渕優子少子化担当相の従兄弟だ。
 同組合は複数の都道府県に組合員をもつ広域の協同組合である。組合員はほとんどがが中小・零細企業。安い労働力として中国、ベトナム、インドネシアなど途上国から、技能研修生、実習生という名の人手を組合員企業に斡旋している。そこに不正があり、宇都宮地検から今年はじめに書類送検されていた。
 同制度は各省庁天下りが幹部に座る財団法人・国際研修協力機構(JITCO)が仕切るもので、1年目が研修生、2年目と3年目は実習生として合わせて3年間働ける仕組み。 その受け皿になるのが全国にある協同組合で、組合は傘下の組合員企業に必要とする人数の研修生を斡旋。研修生は残業禁止で研修手当のみが建前。実習生になると給料と残業代が支払われる。その支払い方法も組合によってさまざま。組合員企業が直接、研修生らの銀行口座に振り込む形もあれば、企業が組合経由で支払うケースもある。
 小渕被告らは後者の手法を悪用。06年3月まで、企業2社が実習生5人に支払った417万円から132万円を、さらに07年6月まで10社34人の実習生賃金1327万円から1070万円を着服したもの。裁判長は「中間搾取の隠蔽工作は悪質」と断罪したが、受け入れ研修生、実習生の総数700人ともいわれる大手協同組合のトップが起訴され、有罪になったのは画期的。ピンハネされたのは栃木県下の縫製業で働く中国人女性たちで、彼女たちが労働基準局に訴え出たのが摘発のきっかけになったもの。(つづく) 【ジャーナリスト=恩田勝亘】

恩田勝亘(おんだ・かつのぶ)
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない ― 舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』 (七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

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