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特別取材

何世代にも続いていける農業へ(3)
特別取材
2010年1月 8日 13:10

目先にとらわれず広く・長い視野のすすめ

ウィンドファーム  中村隆市社長

開発と自然保護のはざまでゆれる途上国の現状

 中村 日本企業が鉱山開発を計画した地域の住民が「森を子孫に残したいが、日本の企業が鉱山開発をしようとしている、そのことをぜひ知ってほしい」という情報が届いたので、現地住民を日本に招待し、国際有機コーヒーフォーラムを開催しました。ブラジル、コロンビア、エクアドルの生産者や研究者が参加しました。

 鉱山開発に反対し、森の中で農業を営んでいるエクアドルの農民が「森林農法を続け、子どもたちに美しい自然を残したいので、森が破壊されないように協力して下さい」と訴えました。森林農法とは、森を伐採せずに森の中で農薬や化学肥料を使わずにコーヒーや果樹や作物を栽培する方法で、森を守ったり、伐採された森を再生したりしています。

 その話を聞いてから3ヵ月後にエクアドルを訪問しました。現地では、苦労して作った有機コーヒーが評価されず、安い値段で買い叩かれている現状がありました。生活が厳しく、作ったものをすぐに売らざるをえないため、足元を見られて買い叩かれてしまうという悪循環でした。生産にかかった原価が保証されず、貧困状態で子どもは学校に行けない、病気になっても病院にかかれない、といった現実がありました。

 そして、鉱山会社は「開発を受け入れたら病院や学校を建ててやる」などと話を持ってくるわけです。そうすると貧しい人たちの中には受け入れてしまう人が出てきます。私は、住民のリーダーから「この森を守り、子供たちがこれからも暮らしていける自然を守るためには、森林農法で作られたコーヒーを適正な価格で買ってくれる人が必要だ」と言われました。

 まず現場を見て、帰国してから買うかどうかをじっくり考えようと思っていたのですが、森林農法の現場を見て、その話を聞いたときに「ここでできたものを全部買います」と言ってしまったのです。それから数年間は、倉庫にコーヒーが山積みになっていましたが、今では人気が出てきて、生産量を増やすようにお願いしている状態です。

有機農法の広がり

 中村 エクアドルとは、これまで11年間やってきましたが、この間、常に鉱山開発の問題が出てきます。最初は日本の企業が来て、その後はカナダの企業が来ましたが、この11年間、開発をくい止めることができたのはフェアトレードのおかげです。弊社が国際価格の2~3倍で購入できているのは、日本の消費者が理解して買ってくれるからです。

 メキシコは森林農法の本場です。これまでは、森林農法から近代農法に変えてきていましたが、一度は近代農法に変えた人たちが再び森林農法に戻ってきています。話を聞くと、森林農法だと百種類以上もいた鳥が、農薬を多用する近代農法に変えたら数種類に激減してしまったそうです。それで、鳥が住めなくなるような農業のやり方ではきっと将来人間も生きていけなくなるだろうと危機感を抱いた人たちが生産者組合を作りました。現在は、森林農法を広める活動を地域の人たちと力をあわせて取り組んでいます。

ブラジル初のオーガニックカフェを開店
ブラジル初のオーガニックカフェTERRA VERDI10
 中村 有機コーヒー生産者が順調に増えたことで、2000年にブラジルで初めてのオーガニックカフェを作ることができました。そうやってよい事例を作るとみんなが真似してくれます。今は100軒ほどのオーガニックカフェが出来ているようです。それまでのブラジルでは、品質のよい豆は外国にほとんど輸出してしまい、オーガニックコーヒーは飲めませんでした。輸出用にいい豆を出し、残りが国内用に使われるため、味のわるさを誤魔化すために深く苦く焙煎して、欠点の味を消し、大量の砂糖を入れて飲むというのがブラジル人のコーヒーの飲み方だったわけです。ブラジルだけでなく多くの生産国でそうした飲み方をしています。

 これではフェアトレードといいながらフェアじゃないなと思いました。その話を生産者と話していたときに、「だったら、オーガニックカフェをつくろうよ」という話になったのです。カフェができると、カフェで出す食べ物の分野にもオーガニックが広がり、野菜、果物、パン、チーズ、肉などにも広がっています。

(つづく)


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