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未来トレンド分析シリーズ

増え続ける原発ビジネスのリスクと日本の対応(1)
未来トレンド分析シリーズ
2011年8月29日 07:00
総務政務官 浜田 和幸

中国の高層ビルの建設ラッシュ このところ中国では、急激な高層ビルの建設ラッシュが続いている。今後3年間にわたり、5日ごとに新たな高層ビルが完成するという驚異的なペース。世界の建築の歴史を塗り替える勢いである。その背景には、中国各地から沿岸部の大都市に向けて、毎年数百万の単位で移民が押し寄せている現状が隠されている。この旺盛な国内移動の流れに加え、海外から押し寄せる投資家やビジネスマンを捌くために、かつてない勢いでマンションやオフィスビルが林立しているのが、現在の中国の姿に他ならない。

 世界の高層建築物の高さを比較すると、上位10棟のうち5棟が中国内に建設されている。世界一の高さを誇るのはドバイの高層ビル「ブルジュ・ハリファ」であるが、世界第2、第3の高層ビルはいずれも上海に建設されたものである。また、その後を追うように武漢や南京、広州といった大都市でも次々に高層ビルが完成している。今後、世界で建設が予定されている50棟近くの高層ビルのうち、実に半分以上が中国に集中している。

 中国では高さ152mを超える高層ビルが、現在建設中のものだけで200棟以上ひしめき合っているという。この数は、アメリカに建設されたすべての高層ビルの数とほぼ同じ。現在のペースで進めば、5年以内に中国には800棟を超える摩天楼がそびえ立つことになる。言い換えれば、2030年までの間、毎年、中国に新たなシカゴが誕生するほどの建設ラッシュの嵐が吹き荒れるということである。30階以上の建物に関して言えば、この間に新たに1,500棟が建設されることになっている。

 こうした中国の高層ビルの特色は、不動産開発業者がそのオーナーである比率がきわめて高いということにある。アメリカや日本の場合であれば、大半の高層ビルは金融、石油、自動車、商社といった大企業がオーナーとなり設計、施工されるケースが多い。その意味では、中国の過剰投資のリスクが透けて見える。果たして、これだけ大量の高層ビルに入居者が確保されるものかどうか、隣国のこととはいえ、大いに気になるところである。こうした背景には、中国政府が意図的に資金を供給している面も否定できない。早晩、巨大な中国の建築バブルがはじける可能性がないとは言えない。最近では、世界最長を誇る大規模な橋が青島に完成したばかりだ。

 いずれにせよ、こうした巨大な建築ブームを支えるためには、大量の電力供給が欠かせない。これまで、中国のエネルギー供給に占める原子力発電の比重は、きわめて限られたものであった。2010年の段階において、中国の原発による発電量はほぼ1,000万kW。電力供給全体に占める比率は、わずかに1%強である。稼働中の原発は13基。加えて、現在28基の原子力発電所を建設中である。

 今後の経済成長を見越し、中国では原発の発電能力を2020年には7,000~8,000万kWに引き上げる計画を進めている。さらに2050年には4億kWを目指しており、その時点での発電能力に占める原子力の比率は12%になっているはずである。

(つづく)

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<プロフィール>
浜田和幸氏浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務政務官に就任。震災復興に尽力している。

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