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REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(22)~追い込まれる実感(前)
経済小説
2012年5月25日 07:00

<追い込まれる実感>
 2008年8月時点では、まだ世界中にマネーがあふれていた。ところが銀行が不動産融資を絞っていったため、行き場を失ったマネーは新興国の株式や資源に向かっていた。

 このため、何度も書くように不動産市況についても、ある程度価格が下がると、財閥系不動産会社や大手企業系のデベロッパーなどキャッシュリッチな買い手が不動産の取得に走り出すため、ある程度のところで下げ止まるのではないかとの意見もあった。
 実際、8月上旬、DKホールディングスでも今泉の大型の土地1件が、公共企業系のデベロッパーに売れて、利ザヤ10億円を確保することができた。

 しかし、期待に反してその流れは続かなかった。

sora_14.jpg 9月に入り、サブプライムローン問題が直撃する形でリーマンブラザーズの倒産という大ニュースが飛び込んできた。これをきっかけに不動産融資は文字通りストップしてしまった。
 その後間もなく、J-REITの一銘柄が民事再生を申請する事態となった。このことで、不動産投資を再開しようと機会を狙っていたごく一部のキャッシュリッチな買手も、新規投資を手控えるようになった。
その結果、当社の土地に対する、顧客の価格目線もみるみる下落していった。毎週の営業会議で報告される商談内容を見ても、それは明らかだった。

 これに対し、伊崎専務以下の営業メンバーは、なお懸命の努力を続け、10月までに1件の工事中案件を売却することができた。相手先は、中部地方に本社のある世界的自動車メーカーの商社部門であった。
 しかし、その後の当社の存続は、天神南部の不動産(8月に売却したものとは別の大型土地)を10月中に売却することが条件であったが、それも10月中旬までにギブアップしてしまった。

 9月以降、私は「少しでも物件の売却を!」と、営業を督促するとともに、毎月迫る融資の返済期限の繰延交渉に当たりつつ、資本増強による状況の打開を模索していた。しかし、融資の繰り延べをするのはいいが、その金利はノンバンク並みの水準となった。

 同時に、借入を実行するに当たり、仮登記で済ませていた抵当権もすべて本登記に切り替えるよう要求された。これら利払いや抵当権の設定費用だけでもこの頃、月に数千万円となった。これらは当社の民事再生を近づける効果を呼んだだけだった。

(つづく)
【石川 健一】

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<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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