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REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(25)~トップの決断(前)
経済小説
2012年5月30日 07:00

<トップの決断>
kaigi_1.jpg 私が最初に民事再生を意識したのは、2008年の8月である。

 この頃、毎週土曜日に本社に取締役全員を集めて販売状況の進捗確認を行なっていたが、その例会の後、会長、社長と私だけで社長室で初めて民事再生のことを切り出した。

 「今、こうして販売活動をしていて、毎週進捗確認をしていますが、状況はかなり厳しいと思います。いちおう民事再生のことも頭に入れておかなければならないと思うんですがいかがでしょうか」と私。
 岩倉社長が述べた。  「私も、前出張したときに、東京の本屋さんで、民事再生のことを少し調べてました」  私は、黒田会長に一喝されることも覚悟してこの話を切り出したのだが、岩倉社長も同じような心情を持っており、自分でも考えたくない最悪の事態をある程度想定していたのか、冷静な反応だった。  黒田会長は、  「天神の土地が売れたのはたまたまのことで、厳しいかもしれない」  と、比較的冷静に述べた。

 この時点では、まだ資金的に数カ月の余裕があったため、まだ、残る大型土地の売却に向けて努力するべきであった。福岡と東京以外を撤退し、残る不動産を12月までに何とか売り切り、その後、個人向けの物件に絞って土地の仕入を再開するというのがこの頃のメインシナリオであった。
 先に述べたように、名古屋の工事中のプロジェクトが、世界的メーカーの商社部門に売れるなど、一部で成果も現れていた。

 ところが、この後、9月になりリーマン倒産のニュースが飛び込んできた。
 世界経済の変調のきっかけはアメリカでのサブプライムローンの不良化問題であった。そして、サブプライムローンの本家であるリーマンが倒産したことにより、それまでは対岸の火事と思っていた金融危機が、わが国にも津波となって襲ってきた。この結果、不動産に対する融資はさらに出ずらくなり、不動産を長期保有して賃料を投資家に配当するJ-REITにも倒産するところが出てきた。新興デベロッパーも、ファンド向けの1棟ものの開発に特化してきたところを中心に倒産が相次いだ。
 この頃の雰囲気は、まさに日本経済全体が底なしの泥沼に沈んでいくような感じがした。

 このため、私はDKホールディングスの管理を預る責任者として、9月に入り、本気でXデーを決めて会社の幕引きを考えなければならなくなった。

 そのように苦悩している頃、黒田会長が懇意にしていた石油販売会社の会長が、当社に何か助け船を出せないか、と心を砕いている、という話が伝わってきた。

(つづく)
【石川 健一】

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<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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