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REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(29)~申立当日(前)
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2012年6月 6日 07:00

<申立当日>
bgns_8.jpg Xデー当日、11月14日午後、私は黒田会長に帯同して福岡地方裁判所に向かった。ここで、申立代理人弁護士の同席のもと、裁判官より審尋があり、その後、書記官が弁護士と細かい打ち合わせをしてくれた。債権者集会で配当の承認を得るまでに約6か月というスケジュール案も示された。
 
 裁判所が申立を受領すると同時に、TDNETにリリースが流され、当社の倒産が市場に伝わっていった。その後、黒田会長は帰りのタクシーのなかで少ししんみりしていたが、すぐ気を取り直し、
 「石川君、私はK不動産にお詫びに行くから、石川君は先に帰っておいて」
 といい、早速親密取引先をまとめにかかっていた。

 その後、帰社すると打ち合わせ通り、入口のドアに張り紙がしてあった。民事再生の申立と保全命令が出ており財産を持ち出すことは許しませんよ、という内容である。
 経理の幹部は、予定通り、手分けして各銀行に説明に回っていた。本社に飛んできた銀行には、私も応対してお詫びした。

 当日午後5時より、本社会議室で会見をセットした。過去最大、狭い会議室に50人のマスコミが集まり、地元最大のデベロッパーの倒産に対する関心のほどがうかがわれた。焦点となる経営責任の問題や、今後の再生の方針などについて事前にまとめておき、先手を打って開示していったため、とげとげしい雰囲気となることを避けることができ、経済新聞の記者から、これまで御社がやってきたことは決して間違いではありませんよ、という励ましの言葉もいただいた。

 経営責任の問題については、黒田会長は、上場会社であるため、借入の個人保証を負うことはなかった。しかし、相当額あった役員報酬をゼロとし、無報酬のまま事業の存続にメドがつくまで業務に当たることを宣言した。他の役員については、4~7割の報酬をカットしたうえで事業の継続に全力で取り組む旨説明した。

 午後6時より同じ部屋で、今度は社員全員を集めて説明会を行なった。

 黒田会長は、全社員の前で当社が金融危機の影響で不動産を売却することが困難になり民事再生のやむなきに至った、という経緯を述べた。その後、
 「何とか、みな一緒に向こう岸までたどり着きたかった。しかし、もはやDKホールディングスはこれまでのような豪華客船ではなく、今回一部の社員には船を下りてもらわなければならない。特に、この春、夢をもって入社してくれた新入社員の皆さんには本当に申し訳ない」
 というくだりでは、悔しさと申し訳なさにこらえきれなくなり、ついに激しく慟哭した。

(つづく)
【石川 健一】

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▼関連リンク
・REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(1)~はじまり

<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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