<転職活動の方針>
残務処理に入るに当たり、4名の取締役をもって事に当たることはやむを得ず、裁判所の了解も得た。
しかし、担当の弁護士からは、あまりにも長期にわたり役員が報酬を得ることは配当原資を減らしてしまい、債権者の理解を得られないので、11月までにあらかたのことを終えて、12月以降は社長以外は無給となすように、という指示があった。
このため、私は各役員にそのことを伝え、私自身も2009年5月より本格的に再就職のための活動を始めた。
この不況の折、ただでさえ求人が少ないところ、JASDAQの中堅企業ながら取締役まで努めた面々が再就職先を見つけることはとても難しかった。あるとすればフルコミッションの仕事だが、私たちの経験業種は建築・不動産であり、リーマンショックの直撃を受け、他の業種以上に構造的な不況に陥っていた。そんななかでフルコミッションで仕事をしても契約を取るのは簡単ではない。
しかし、DKホールディングスの残務処理は終わりのある仕事であり、再就職は不可避だった。
私は、再就職活動に当たり、まずは方針を考えた。
基本方針としては、当社での上場会社の管理の経験やIR・決算短信などの業務経験を活かして、上場会社に行きたかった。
しかし、福岡では上場会社の数自体が限られ、ポストが空かないと募集はないため、上場準備会社もターゲットとすることにした。そして、それもなければ非上場の中堅企業で経営企画や管理の仕事をすることを目標とした。
いずれにせよ、すでに組織のでき上がった大企業では、私のような者が入り込む余地はないと思われたため、比較的小さいところに入り、自ら会社の成長に関与して、その果実を得ていくことを目指すことにした。
これで活動してみて、あまりにも何もなければ首都圏への転職も考えざるを得ない。しかし、まずは地元で探そうと決めた。
収入については、以前のような1,000万円超の収入を求めても無駄ということは予想できたため、いちおうの目標を800万円と置いた。
そうして決めて人材紹介会社の門を叩いた。
人材紹介会社というのは、幹部ポジションで人を採用したい会社に、適当な人材を紹介し、成約したら(採用されたら)その人材のその会社での契約年収の20~30%程度を手数料として徴収する、という業種である。
▼関連リンク
・REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(1)~はじまり
<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。
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