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REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(55)~最後の現場
経済小説
2012年7月12日 07:00

<最後の現場>
 ここは東京の準大手ゼネコンが工事を進めていたが、大幅な工事代金手出しの状態で当社の倒産に直面し、大変な迷惑をかけた。デベロッパーが倒産した場合、工事中の現場の処理がもっとも困難である。
 まず工事代金手出し部分は、一般債権者としての配当率で我慢していただく。そのうえ、当社でビルの買手を探して契約した後、改めて竣工までの工事を発注する、ということをしなければならない。
 このタフな交渉も建築工事担当の中井常務の仕事となった。

k_img2.jpg ここの場合、幸いだったのは当該準大手ゼネコンも、過去に会社更生法による倒産を経験していたことだ。このため、現場の再開交渉にも理解がありスムーズに進んだ。
 この新宿オフィスビルは、土地の買手が見つかった後、工事を再開した。2010年の3月に竣工し、新オーナーに引渡をしたのだが、これがDKホールディングスの最後の現場となった。この準大手ゼネコンは、新宿の現場に、DKホールディングスのロゴが大きく表示されたシートを仮囲に掲出しながら工事を進めてくれた。
 中井常務も、工事が再開してからというもの、毎週東京に出張し、上場時代と変わらぬ工事検査を実施した。

 以上のように、中井常務も最後までその職責に忠実に民事再生手続に臨み、岩倉社長とともに、その誠実な姿勢が評価されることとなった。

(つづく)
【石川 健一】

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▼関連リンク
・REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(1)~はじまり

<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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