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REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(57)~離職票(前)
経済小説
2012年7月17日 07:00

<離職票>
yoake.jpg ここで、これから失業する人のために失業手当の話をしよう。
 失業手当は、会社に勤務して雇用保険に加入することで、万一失業したときに、月額給与の最大6割を、約半年にわたって受給することができる。そして、これはどんな場合でも受けられるわけではない。

 社員が会社を退職するときには、会社は離職表という書面を発行してくれる。
 これは、2枚複写の書式であり、その社員が会社にいつからいつまで勤務し、その間何月にいくらの給与を受けているかがわかるような欄がある。ほかに、離職理由を記載する欄があり、選択肢から選ぶようになっているが、これが非常に多岐にわたっている。

 失業手当は、3カ月程度の給付制限の期間を経た上で受給できる場合と、失職後直ちに受給できる場合がある。家族を抱え住宅ローンの鎖につながれたサラリーマンにとっては、失業手当が出るか出ないか、この3カ月の差はかなり大きい。そして、その運命を分けるのは、離職票に記載された離職理由である。

 ごく簡単にいえば、給付制限がかかる(つまり、失業手当の支給開始まで3カ月待つ)のは、離職理由が「自己都合」の場合である。逆に、すぐに失業手当をもらえるのは、「倒産」「解雇」という不可抗力によって離職するケースである。これに加えて2009年の3月には、リーマンショックを受けての法改正で、いわゆる「雇い止め」になった契約社員や派遣社員も、時限措置ながら、すぐに失業手当を受けられるようになった。

 失業手当の話が長くなったが、要は、退職後速やかに手当を受給しようと思ったら、勤務先が作成する離職票のなかの離職理由の欄に注意することが必要である。

 さて、その離職理由欄には、定年退職、派遣社員・契約社員の雇い止め、一身上の都合などのさまざまな選択肢が記載されている。これらの選択肢のなかから勤務先と離職者本人がそれぞれマルをつけるようになっている。その上、離職者本人の判断として、勤務先が選んだ離職理由に異議かあるかないかを選ぶ欄と、上記離職理由は確かに離職者本人が書きました、という署名をする欄がある。
 すなわちハローワークとしては、離職理由が会社都合なのか自己都合なのかを必ず白黒つけてから失業手当を申請しなさい、ということである。実際には、失業手当の申請に至るまでに、会社の理不尽や個人の怠慢のせめぎあいがあろうが、役所はそういうことは知りませんよ、ということである。

 いっぽう、ハローワークが配布している失業手当の手引書を見ると、「妊娠・出産・育児等のため」とか、「家庭の事情の急変(父母の扶養、親族の介護等)」というようなケースは「特定理由離職者」に当たり、即座に失業手当を受給することができるようになっている。

(つづく)
【石川 健一】

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▼関連リンク
・REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(1)~はじまり

<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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