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REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(63)~高速バスでの東京訪問(後)
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2012年7月25日 07:00

 はかた号は、19時過ぎに天神のバスセンターを出発する。11月の初旬の平日であった。閑散期なので続行車もなく、専用のダブルデッカーバス1台での運行だった。閑散期にもかかわらずこの1台の約30席は満席となっていた。

 私が利用した中間クラスの座席は2階に位置する3列座席で、一列ずつ独立した座席で、座席と座席の間にはカーテンがかけられプライバシーを確保できる構造になっていた。座席は深く倒れ、旅なれた人なら、翌日の活動に支障がない程度には眠れる。割増料金が必要なファーストクラスはゆったりとした造りで、2階に前方に数席が設けられていた。そして、1階は、格安席で、座席は真ん中通路の4列座席、貸切バスのあのスタイルそのままである。

 車内は窮屈で動き回る空間もないが、夜行運行でほとんどの時間を眠って過ごすことができ、かつ2回ほどパーキングエリアで休憩があり、そのときに歯を磨いたりできる。

douro.jpg 客層は、お金はないが時間の余裕があるお年寄り、それに、出張旅費を浮かせて小遣いを稼ごうとするのかサラリーマンの利用者も結構多い。それだけでなく、リクルートスーツを着た女子大生が隣の席に乗ってきた。たぶん、東京の企業に面接にいくのであろう。不況下で新卒の就職活動も大変そうだったが、その時は、私自身のことで精一杯であり、私がその女子大生を構うことはなかった。

 そのようにいろいろな属性のお客が乗ったはかた号だが、一番安い席を小学生の子供を含めた家族4人で利用しているのを見たときには、思わずどういう事情ですかとたずねたくなってしまった。

 このようなバスに17時間ゆられての旅となった。

 バスの社内は、映画のDVDを流すくらいで、することは何もないので、読書用の文庫本は必須だ。また休憩は、21時過ぎの下松と、翌朝6時頃の諏訪だけなので、夕食は事前に食べておくか、下松の売店で何かを買うしかない。朝は、諏訪の休憩が終わったのち、車内でSOYJOYと飲物を配ってくれる。

 そういう高速バスの旅の末、東京の新宿西口バスセンターに到着したのは午前10時頃だった。

 新宿につき、バスセンターの洗面所で洗顔を済ませ、ネクタイを締めた。そうして午後一番からのJASDAQ企業の経営企画室長の面接に臨んだのである。

(つづく)
【石川 健一】

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▼関連リンク
・REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(1)~はじまり

<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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