1972年に日本と中国との国交が正常化してから、今年で40周年を迎える。国交正常化後、両国はさまざまな分野での交流を発展させてきた。しかし、最近は領有権をめぐって両国間の摩擦が高まるなど、不穏な動きも見られる。そのようななかで、今後日本は、そして福岡は、どのようにして隣国・中国と向き合い、付き合っていくべきか――。中華人民共和国駐福岡総領事館総領事の李天然(り・てんねん)氏に、話を聞いた。
<高いポテンシャルを持つ黄金の地・曹妃甸>
――李総領事は、唐山市副市長から福岡に来られたと聞いています。李総領事が在任時に注力していた国家プロジェクト「曹妃甸(そうひでん)エコシティー開発区」とは、どのようなプロジェクトなのでしょうか。
李 2006年夏に、胡錦涛国家主席が曹妃甸を訪れ、「ここは黄金の宝の地であり、唐山市と河北省の発展におけるポテンシャルがここにある。我が国においても重要な位置を占めていて、科学的発展のモデル地域にしなければならない」と自ら指示された地域です。翌年には温家宝総理が視察、「曹妃甸を一流の国際大港にしよう」と呼びかけました。曹妃甸はエネルギー、鉱石などの大口貨物が集積する港であり、新型の工業基地、商業的なエネルギー備蓄基地であり、国家クラスの循環経済モデル地区と位置づけられています。
唐山市は、天津から150㎞ぐらいに位置しており、高速道路も通っていますので、地の利もあります。副市長時代に当時の鳩山総理をご案内した際、目覚ましい発展を見て、大変驚かれていた思い出があります。
現在は、海水淡水化プロジェクトが進行していて、近い将来、水不足にあえいでいる天津や北京に水を供給する、重要なエリアになるでしょう。10年後には、天津と合わさって、1つの大きな都市を形成するようになるのではないかと思っています。日本企業も30から40社ほど進出してきています。パナソニックや住友重工業、双日などの大企業だけでなく、中小企業も進出し始めています。
――天津周辺の経済開発で、九州の経済界が関わる可能性はありますか。
李 九州の中小企業は優れた技術を持っています。そのため、唐山市で活躍できる可能性は非常に高いと思います。
また、循環経済だけでなく、農業や漁業も盛んです。唐山市はカニやフグも有名です。とくにカニは、海水と淡水が半分ずつ混じっているところで獲れますので、日本人の趣向には合っているかもしれません。個人的には上海ガニよりも美味しいという印象です。農業においては、甘栗なんかは「天津」の名前が有名になっていますが、すべて唐山産の栗です。唐山は米どころでもあります。農業や漁業においては、日本は技術指導の面などで、かなり可能性を秘めているのではないでしょうか。
<九州と中国の今後の経済交流>
――今年は日中国交正常化40周年ですが、今後の九州と中国の経済交流の展望をどう見ていますか。
李 70年代は深圳が開発の中心で、80年代に入り上海周辺、現在は、第3局面として、中国のあちこちに拠点ができてきています。これから新幹線がどんどん伸びてきて、北京と天津はさらに近くなります。唐山市を含め、このあたりを新しい循環経済型のモデル都市にしていきたいと考えています。唐山の副市長時代にやっていたことを進めていきたいと考えています。
日本のなかでも、九州はとくに中小企業がたくさんありますし、その中小企業はすばらしい技術を持っています。九州の中小企業にどう協力を仰ぐか、どうやれば中国進出への道筋を立てられるか、今、模索しているところです。
この40年間で、日本の大企業の中国進出は定着してきました。これからは中小企業の時代が来ると思います。経済や政治、文化などの各分野において、日中双方の交流はたしかに進んでいると思います。
ただ、人的な交流はまだまだ不足しているのではないかと思います。形式的にはお互いを尊敬していますが、相互理解をより深めて、民間レベルでの交流がもう一歩進んでくれば、より良い方向に進むのではないかと思います。国民感情レベルでは、まだまだ弱いと思っていますので、1人ひとりが日中の信頼関係を深めていくためにも、私も着任してから微力ながらもがんばっているところです。
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