<九州に中華街をつくりたい>
――観光面の経済交流では、どのように見ていますか。
李 当領事館の管轄は山口から沖縄までですが、熊本は上海市、桂林市と友好姉妹都市提携しています。九州内では47組が中国の各都市と、友好姉妹都市提携をしていますが、それにも関わらず航空路線が少なすぎると感じています。現在は沖縄―厦門、鹿児島―長沙、山口―山東省など、いろいろと計画を練っています。在任中に、航空会社をいろいろまわって、九州の中小企業中心の経済交流を応援したいと思っています。
また、大型のクルーズ船が九州にたくさん来ています。富裕層が中心ですが、この人たちは日本の製品を買いに来ています。1人当たり平均で15~16万円の金を九州に落としているようです。「百聞は一見にしかず」という言葉があるように、中国人は一度来たら、日本に対しての印象が大きく変わると思います。九州は関東や関西に全然負けていませんが、宣伝不足だと思います。
さらに、私の構想では九州に中華街をつくりたいと思っています。食だけでなく、免税店なども含めた「街」をつくりたいと思っています。そういうものが九州には全然ないと思います。現在は福岡や佐賀、熊本などで候補地を探しているところです。
<「隣にある国」として付き合っていく>
――最後に、日中経済交流について、九州経済界に望まれることは何でしょうか。
李 沖縄では、一度訪問すれば、3年間の観光マルチビザが発給されるという制度があります。それにより、沖縄への観光客は増えています。こういう柔軟な制度も良い取り組みです。また、来年から北九州市を中心に、中国の中高生の修学旅行を呼び込みたいと思っています。先日、四川省の学校関係者に北九州市を視察してもらいました。こういう取り組みを中国全土に広げていきたいと考えています。
これからは日中大交流時代になっていくと思います。国民感情レベルで好きとか嫌いとか言っていても、「隣にある国」という現実は変わりません。付き合っていかなければいけない関係です。私は毎年、九州の経済界とゴルフ交流会をしています。今年は3月に大分で開催しましたが、80社が参加し、大いに盛り上がりました。日本は決定までに大変時間がかかる国民性ですが、在任中にできるだけスピーディーに物事を取り組んでいきたいと思っています。
*唐山市
環渤海の中心に位置する河北省最大の重工業都市。文化大革命時代の1976年に起きた「唐山地震」では24万人以上が死亡した。天津や北京など大都市が100~150kmの距離にあり、国家プロジェクト「曹妃甸エコシティー」計画が進んでいる。
≪李天然総領事を取材して≫
気さく性格と流暢な日本語で、国家公務員らしさを感じさせない雰囲気を醸し出している李総領事。唐山副市長時代のエコシティプロジェクトに大きく関わった実績のせいか、企業誘致、ビジネスマッチングなどの面では特に自信がみなぎっているのが感じられた。
中国人ならではスピード感、総領事という立場で、山口から沖縄まで9県をまたにかけてさまざまな会合に出かけていくフットワークの軽さ、さらには自前でのビジネスゴルフ大会の開催など、総領事という表向きは役人の顔だが、もうひとつの顔は敏腕な経営者だ。一民間企業のビジネスパーソンとして見習うべき部分も多いのではないか。
経済大国・中国が近距離にあるというだけで、九州の企業はアドバンテージも多いはずだ。ただ、李総領事が九州で辣腕を振るう時間は限られている。そう多くはないビジネスチャンスを生かすためにも、ゆっくりしている時間はない。
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