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地域づくりにマーケティング発想を

"嘉麻市"という名前を聞いたことがありますか?(2)
地域づくりにマーケティング発想を
2013年3月 6日 07:00

kamasi.jpg 前回に引き続き、福岡県筑豊の嘉麻市の活性化についてのお話です。
 企業活動は言うにおよばず、先ごろ行なわれた選挙活動についても知名度をいかに上げるかがその活動の勝敗を決すると言ってよいかと思います。実は、単に知名度を上げることは簡単ではあります。連呼、繰り返し名前を訴える、それだけで効果を上げることがままあります。ブランドロイヤリティの低い多くの消費財については、ブランド名を浸透させること=売上の向上、ということがよくあります。

 ただ、今ここで検討する自治体のPR戦略においては、単に知名度を上げれば外から人が来てくれるというわけにはいきません。もちろん、政治(選挙)の世界でも多分そうなのでしょう。当然ながらその中身の訴求が必要です。
 いかに魅力ある資源(政治の場合は政見?)があるのか、そこに行ってみたいという人を惹きつけるものがあるのか。繰り返し行ってみたい、行けば何かがある、新しい何かがある。そういう期待感を抱かせることが来客増のポイントです。

 良い例が、東京ディズニーランド(TDL)です。リピーター率は実に90数%であるといいます。もちろん日本中を調査すれば、TDLの利用経験率は5割ほどいくでしょうか。しかし、TDL利用者は未利用のアトラクション、新規のアトラクションを求めて何度も来場するのです。そんなあり様が地域の観光にも求められると思うのです。しかしながら、そのような仕掛けを行なっている自治体が、どのくらいあるでしょうか。

 身近ですぐに思いつくのは大分県由布院温泉くらいでしょうか。この由布院の戦略についてはいずれお話することになると思いますが、当面の嘉麻市のお話に戻ります。

 前回ご紹介したように、嘉麻市では2011年度に「嘉麻市活性化戦略プロジェクト構想」(~嘉麻市の優れた資源のセールスプラン~)を策定しています。そして、そのなかで4つの基本戦略を策定しています。まず、そのなかの第1の認知度アップに関する目標をご紹介します。

ongagawa.jpg 基本的な目標のテーマとして、「嘉麻市と言えば福岡県の中心にある自然豊かな源流のまち"嘉麻"を誰もが認識できること」が掲げられています。遠賀川源流を発する当市の優位性を前面に出し、そこから緑豊か、清らかな水、との大地が育む農畜産物といった基本的なイメージが形成されることを目標に掲げており、より具体的には、「~嘉麻市ってどこ?と言われることのないようにするためには~」として、以下のような戦術を掲げています。

(1)嘉麻市のPR基本戦略の策定、(2)源流の里づくりプロジェクトの展開、(3)嘉麻市観光大使を活用したPRの展開、(4)パブリシティ活用の徹底、(5)SNSによる広報活動。

 このうち(3)が前回お話した、おすぎさんを前面に出したKBCでのPRプロジェクトです。また、この秋には、新たな観光ポータルサイトの開設も行なわれています。さらに、市の知名度を上げるために市のシンボルとなるマスコットキャラクター(ゆるキャラ)制作を市内の高校生に依頼し、"ゆるキャラ総選挙"を展開。市民に投票してもらい、マスコットキャラクターと名前を決定しようとしています。

 第2の目標は、「源流のまち"嘉麻"産品のブランド化」であり、「嘉麻市と言えば豊かな地域産品で地域の人々が生き生きと暮らし、産業が活気づいている"まち"となっていること」を目指します。具体的には、(1)嘉麻市農畜産物・加工品の地域外販売促進、(2)嘉麻市の地域特性を活かした特産品の販売促進と開発、(3)各地での物産展への積極展開、を掲げています。

 この一環が、前回ご紹介した「おすぎ&らぶ子の嘉麻の釜めしの素」開発です。この釜めしの素、12年12月15日朝日新聞朝刊によれば、予想以上の売れ行きを示しているとのことです。

 第3の戦略目標は、「源流のまち"嘉麻"の観光活性化」です。嘉麻市は優れた観光資源があるにもかかわらず、これまでほとんど手つかずで宝の持ち腐れ状態が続いていました。これを下記のような戦術により、観光による交流人口の増大を目指そうとするものです。

 (1)嘉麻市観光のコンセプトの確立、(2)観光資源の見直し、既存資源の再評価、再整備、(3)北部九州へ向けた観光情報の発信、(4)観光振興のための組織の設立、(5)ボランティア組織の立ち上げ。

 これも、昨年度すでに「嘉麻市観光まちづくり協議会」が設立され、観光による活性化が進行しています。

 第4の目標が、「源流のまち"嘉麻"の地域イメージアップ」であり、「嘉麻市の市民が地域に対して誇りを持ち、生き生きと生活するまちとなること」とされています。具体的には、(1)教育環境、住環境の訴求による定住人口の増加策、(2)後継者育成プロジェクト、(3)かまっ子体験プロジェクト、(4)のうこう嘉麻Uターン、Jターン作戦、(5)(仮称)地域見守り隊プロジェクト、が掲げられています。少子高齢化を克服すべく子育てに重点を置いた目標であり、ここから一層の地域の活性化を目指そうとの姿勢が見えます。

(了)

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(株)地域マーケティング研究所
100609_yoshida.jpg代表取締役:吉田 潔
所在地:福岡市東区みどりが丘3-2-7
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