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蠢き続けた黒い人脈~南大隅町長、核のゴミ収賄疑惑(2)
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2013年3月12日 14:00

 オリエンタル商事(原幸一社長)の支店である豪華別荘には、森田俊彦町長ら町の有力者が招かれている。緑に囲まれ、東シナ海を一望する別荘で交わされた会話はなんだったのか。関係者の証言によれば、森田町長らと原社長の関係が、個人的付き合いで済まないものだった。

<発端となった「ニューモ勉強会」>
minamioosumi_yakuba.jpg 南大隅町で「高レベル放射性廃棄物最終処分場」誘致の動きが起きたのは2007年。当時町長だった税所篤朗氏が取材に応じた。税所前町長は、自宅で当時のことを思い出すようにしっかりした口調で語った。
 税所前町長によれば、原氏を知ったのは、ある人物の紹介だった。ある人物から「高レベル放射性廃棄物最終処分場」に関連して、「会ってみないか」と頼まれたという。税所前町長は「この問題では先輩の町長が何人も失敗している。同じ轍を踏みたくない」と答えると、「話だけでも聞いてくれ」と言われ、断れなかったという。
 その直後、原氏が六ヶ所村の元村長を連れて、町役場にやってきた。元村長の話を聞いて、最終処分場がいかに安全か、原子力施設誘致によって六ヶ所村がどれだけ活力をもらったかということがわかったという。その後、町議会全員協議会で「原子力発電環境整備機構」(ニューモ)に来てもらって、「高レベル放射性廃棄物最終処分場」の勉強会を開いたと、前町長は話した。
 
 この勉強会を開いたことが報道され、誘致の動きが表面化した。そのときには伊藤祐一郎知事が反対を表明していったんは動きがストップしたと思われてきたが、誘致の動きは町民に隠れるようにして、森田現町長に至るまで連綿と蠢いている。

<誘致一任の念書、東電訪問>
 税所前町長は、オリエンタル商事という会社も、原氏がその社長であることもまったく知らなかったと話す。税所前町長が誘致をめぐって語った話をまとめると、次のような内容になる。

 <原さんは東京電力の役員さんだと本人が言っていた。紹介した人が偉い人なので、そうだとばかり思っていた。議会で勉強会を開いた前後、後でしょうね、原さんに放射性廃棄物処分場についてすべて任せるという内容の念書を書いた記憶がある。覚書というのかな。署名したと思う。誰あてかていえば、原さんあてです。原さんに一任したんだから。
町を挙げて誘致する、原さんに任せるという内容です。取りまとめは助役がして、議長、商工会長(現在の森田町長)、漁協組合長が書いたと思う。>

 <原さんはしょっちゅう役場に来て、議長室で議長、助役の3人で話していた。誘致を盛り上げる誘致振興会を立ち上げようと、当時商工会長だった森田町長が旗を振って受け入れ態勢ができた。>

 <その後、原さんの依頼で、東電の勝俣さんに会いに行った。原さんもいっしょだった。勝俣さんが会長になったばかりの頃だった。公務出張中で東京にいるところに、原さんから電話があり、東京にいるなら勝俣会長に会いに行こうと連れて行かれた。私は「町のなかがまとまったので説明に来ました。町を挙げて誘致します」と話したと思う。原さんも会長室では、相手がお偉方なので控え目だった。原さんの存在は、不思議な力があった。>

 <その前後に、議会などと一緒に佐多岬近くの処分場予定地を海から視察した。1回は海上保安庁の船で、もう1回は原さんのクルーザーだった。メンバーは同じ、主だった者です。町長を辞める直前の平成21(2009)年、東京に出張中、私と森田商工会長、漁協組合長、議長の4人が、プリンスホテルで原さんにご馳走になった。>

<「東電のドン」に引き合わせたキーマン>
 前町長は原社長から飲食接待を受けていたことを認めた。原氏への委任状など放射性廃棄物処分場誘致の見返りだったと見られても仕方がない。
 委任状と前町長への飲食接待は、核のゴミ最終処分場誘致をめぐって展開する贈収賄疑惑の一部、ほんの始まりに過ぎなかった。

 税所前町長の話に出てくる勝俣会長とは、東京電力の勝俣恒久前会長のことだ。2008年2月、柏崎刈羽原子力発電所のトラブルで社長を引責辞任して会長に就任していた。前町長が会ったというのは、時期的に符合する。
 勝俣氏は、「東電のドン」と呼ばれ、原発との関係も深い。社長就任は、前任者が原発データ改ざん事件で引責辞任したためだし、会長就任は柏崎刈羽のトラブルの自らの社長引責辞任、そして福島第一原発事故では入院した社長に代わって陣頭指揮を執り、その後会長を引責辞任している。

 「東電のドン」に町長を引き合わせたり、町長らの視察にクルーザーを提供した原社長とはいったいどんな人物なのか。核のゴミ最終処分場誘致をめぐって、当時商工会長だった森田・現町長、議長、漁協組合長ら、原社長をキーマンに東電につながった人脈は今も続いている。

(つづく)
【特別取材班】

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