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国民は気づかないまま投票するのか~「アベノリスク~日本を融解させる7つの大罪」植草一秀著(講談社)
書評・レビュー
2013年7月17日 07:00

 本書は、マスメディアがアベノミクス万歳、安倍政権万歳を垂れ流すのと対照的に、アベノミクスの真実の姿を伝えている。
 「日本がメルトダウンしてしまう、本当の危機は参院選のあとになって姿を現すことになるでしょう」(本書「まえがき」)。著者の植草一秀氏は、7月21日実施の参院議員選挙で投票する前に熟慮してほしいとの願いを込めて緊急出版した。この参院選のあと、国政選挙がない「3年間の空白」が生まれる可能性がある。植草氏は「3年という時間は、日本という国の姿を根底から書き換えてしまうのに十分な時間であると言えます」と指摘し、日本の経済と国民生活、国家財政、主権と平和の破壊の道への警鐘を鳴らす。

 本書は、「アベノミクス」の次に起こることを「7つのアベノリスク」にまとめた。「引き起こされるインフレ」、「大増税大不況 繰り返される3度目の悪夢」、「TPP 失われる主権」、「活断層の上の原発再稼働」、「シロアリ官僚に食い尽くされる」、「改変される憲法」、「創作される戦争」という7つの"恐怖"だ。

book.jpg 本書を読みながら、読者は、時にはバブル崩壊後の1990年代に時間を遡って「失われた23年」を追体験する。そのなかで、1996~98年(橋本政権)、2000~2003年(森政権、小泉政権)の2回にわたる「政策逆噴射」が日本経済長期低迷の最大の原因になっていることに気づかされるだろう。植草氏は「この政策失敗の責任は基本的にすべて、大蔵省・財務省にあると言ってよいと思います」として、この過ちが三度繰り返される危険に警鐘を乱打している。
 ときには、戦前の1940年代の日本まで遡り、日銀の独立性と戦争資金の調達、戦後日本の歩みとGHQの対日占領政策の転換を振り返る。
 また、あるときは、2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故の日に読者を引き戻し、「国民の生命と健康を切り捨てた、という動かしがたい事実」と「原発利用推進の大きな力」を明らかにしている。

 読者は、安倍政権の「アベノリスク」が空想ではなく、デジャブのように既視感と現実感を持って、受けとめることができるだろう。植草氏は、「戦前の体制への回帰」と「小泉・竹中政治の市場原理主義への回帰」の2つの側面を持つ安倍政権の行き着く先を「米・官・業のトライアングルを軸とする政治であり、主権者である国民は、国家の監視と支配の下に置かれるコマにされようとしている」として、「地獄への列車」と呼んでいる。

 植草氏は、繰り返し主権者意識に言及し、市民の覚醒を期待する。2012年12月の総選挙で圧勝した自民党と、公明党、みんなの党、日本維新の会の4党が衆議院の圧倒的多数の議席を占めた結果に対し、「国民の側の意識が研ぎ澄まされていなかった」と厳しい目も向ける。その問題意識には、「8つ目のリスク」が隠されているように思う。重要争点に気づかず、あるいは気づいていながら目先の株価に目を奪われて「強者とは言えない立場の人々が、この強者のための政治を支持」する危険だ。「地獄行きへの列車」に乗り込まないよう、一人でも多くの国民が本書を手に取ってほしい。7月21日に「8つ目のリスク」が顕在化しないことを願う。

【山本 弘之】

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ご希望の方は、件名に「アベノリスク読者プレゼント係宛て」と明記の上、1.氏名、2.郵便番号、3.住所、4.電話番号、5.年齢、6.「『アベノミクス』についての所感」(必須)を記載し、下記あてにお送り下さい。

応募先アドレス:kuroiwa@data-max.co.jp


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