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現代医学は人間を単純な「機械」と見ている!~「武術と医術」甲野善紀・小池弘人著(集英社新書)
書評・レビュー
2013年7月 1日 07:00

 人命がかかっていても、他に良い方法がいくらでもあっても、自分の面子は保ちたい。厚労省は日本医師会、日本薬剤師会といった一部の圧力団体の利権擁護組織であり、「国民の安全」、「国民の健康」のためと言うときは、十中八九は組織の保全と天下り先確保のためである。などと言われて久しいが、一向に改善される気配はない。

<「縮退」を防げば、最善手に近づける!>
 甲野善紀氏は経済を優先するあまり、自然環境のみならず伝統的な人間のつながりをも破壊する現代文明への疑問から武術の世界へ身を投げた武術研究者であり、小池弘人氏は西洋偏重の医療界に限界を感じ、代替医療を選択肢に入れた統合医療を実践する医師である。本書では二人が、世の中で言われている一方的「正当性」を懐疑し、人生における最善手を探っている。

 「縮退」とは、「一部の人やものの間だけをお金やものが循環しつつも、だんだんと狭い場所に集中して速く回っていく」現象を表す量子力学用語である。それぞれの世界の専門家には積み上げてきたものがあって、それに反するものが出てきたとき、体裁を保つためにそれを無視する。さらに、この概念を使うと、現代の我々の生活がスピードアップしていくさまや、新自由主義のもとで貧富の差が拡大していく理由も説明できる。

 我々が「健康」を求めるのも縮退の一種である。現代医学は人間を非常に単純な「機械」とみているが、「体」とは、本来なにか分からないものであり、検査漬け、薬漬けの医療で解明、改善されることはない。例えば、本書には、1日1回の青汁といくつかのサプリメントだけで、健康を保っている例も載っている。「矛盾を矛盾のまま矛盾なく」考えるという善悪とは別の、グラデーションのある発想が必要と言うわけである。

 小池氏の考える「統合医療」は、現代医療(西洋偏重)と代替医療(伝統医療を含む)との統合された医療である。統合医療は代替医療でなく、現代医療を否定しない第3の医療である。理論と現実が合わなくなった場合、その解決の正しい方法は、理論の方を現実に合せることだ。しかし、「現実の方がおかしい」と発想をするところに、西洋偏重の現代医療に限界があると小池氏は言う。

<利権が一部移動するだけに過ぎない!>
 さて、最近、新聞・雑誌で話題となっている、読者もご存じの「混合診療」という言葉がある。現行の日本の保険制度では、公的保険の利かない自由診療と保険の併用(混合診療)を禁じ、併用した場合は保険診療分も含めて自己負担となる。これに対して、政府が規制改革の一環として、本年度秋を目途に、先ず「抗がん剤」から混合診療を認める方針を打ち出した。

 読者に勘違いして欲しくないのは、この話と先に述べた話とは次元が違うということである。原則的に言えば、自由診療には代替医療等は含まれることになる。しかし、計画では、この許可条件に、外部の「最先端医療迅速評価制度」(仮称)を掲げている。そしてこの種の評価者には、現在の「先進医療会議」の議員同様、厚労省お墨付きのいわゆる"西洋医学"者がなるのである。つまり、これは単に、製薬業界、医療業界等の利権が、一部移動するだけの話で、一番大事な「縮退」が解消されることは意味しないからである。

<プロフィール>
三好 老師(みよしろうし)
 ジャーナリスト、コラムニスト。専門は、社会人教育、学校教育問題。日中文化にも造詣が深く、在日中国人のキャリア事情に精通。日中の新聞、雑誌に執筆、講演、座談会などマルチに活動中。


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