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自然エネルギーPRは原発推進派が仕組んだ罠である!~「原発ゼロ社会へ!新エネルギー論」広瀬隆著(集英社新書)
書評・レビュー
2013年1月22日 14:16

 原発を即時に全廃できる新エネルギー技術が、自然エネルギーの普及を待つことなく、すでに日本には完全に用意(実用化)されている。原発ゼロでもまったく心配ない。同書では、誰もが見ることのできる公開・最新データと知見を動員して「原発がもはや無用の長物である理由」を具体的・徹底的に解説をしている。

 そして、驚くべきことにこの事実は、エネルギー業界の人間なら誰でも知っているということである。震災後に民間企業は、大量の自家発電機やバッテリーを購入してきた。これらの発電能力だけでも、日本全土の原発の全基を廃炉にして、なおかつ誰一人「1ワットの節電」をしなくても電力不足を起こさないのである。

 一方、国が出している自然エネルギーの発電能力の潜在的ポテンシャルは、とてつもなく大きな数字である。たとえば、環境省の見積もりでは、太陽光発電(住宅を除く)が1億5,000万キロワット、風力発電(今や自然破壊のシンボル)が19億キロワット、地熱発電1,400万キロワット、中小水力発電1,400万キロワットとなっている。
 そこで、自然エネルギー派の人たちは、「すぐにでも原発を代替できる」と思ってしまうが、実はこの数字にはまったく根拠がない。すでに読者の多くはお気づきのように、実はこうした数字は、将来絶対に実現しない能力を大衆に信じ込ませて、それが果たされない結果を目論んだものである。つまり、「原発を廃絶させないため」に国が仕組んだ罠である。この罠――「あり得ない幻想」に嵌ると、100年立っても原発は廃止できない。

 たとえば、鳴り物入りでソフトバンクが打ち上げたメガソーラー計画で、800億円を投じて全国の十数カ所に設備を建設しても、ようやく環境省の潜在的ポテンシャルの750分の一のたった20万キワットである。

 さっそく、18日の日米外相会談で、安倍新政権の岸田文雄外相は「2030年代に原発稼働をゼロとする前政権の方針は再検討が必要だ」という声明を出している。衆院選で脱原発を謳った政党は、未来を筆頭に、民主、公明、みんな、共産、社民があり、6党の比例票を合計すると約3,000万票で、自民党の1,660万票を大きく上回ることになるのだが、どこ吹く風である。

 同書の著者である広瀬隆氏は、工場エンジニア出身の実学のエネルギー問題研究の第一人者であり、「脱原発」言論人の代表の1人である。本書は、第1章の「発電の方法はいくらでもある(民間の発電能力)」に始まり、「熱エネルギーの有効利用が日本の活路を拓く(コジェネ)」、「化石燃料の枯渇説は崩壊した(ガスの未来)」、「自然エネルギーを普及する真の目的」、「地球の気温と電力コストの予測」の全5章で構成されている。読者の多くはこの本で、まったく知らされていなかった多くの事実を知るとともに、「原発がなければ電力不足が起こる」は大嘘であったことに気づくことができる。

 そのうえで広瀬氏は、敵は電力会社や産業界、実業家ではなく、「原子力発電」という危険な技術だけであることを間違えてはならないと言う。産業界や実業家が求めているのは、天候に左右されるきまぐれな太陽光や風力では断じてないと警鐘を鳴らしている。国民全員が叡智を出し合い、発電コストを含め、論理性のある話し合いをしていくべきとしている。

 先日15日、"盗人猛々しい"と言える新聞記事が出た。日本新聞協会が、新聞、書籍、雑誌には消費税の軽減税率を適用して欲しいという声明を出したのだ。その理由が、「知識への課税強化は国力を衰退させる」とある。
 どこの国の話だ。原発報道を経験した国民は、以前のように簡単には騙せない。声明を出す前に、記者クラブを解散するなり、政府と電力会社が出した数字しか報道しない姿勢を反省するなり、20万人が「子どもを守ろう」、「再稼働反対」と叫んだ国会前行列を報道しなかったことを謝罪するなどやることがたくさんあるだろう。国民を愚弄するのもいい加減にしろと言いたい。

【三好 老師】

<プロフィール>
三好 老師 (みよしろうし)
 ジャーナリスト、コラムニスト。専門は、社会人教育、学校教育問題。日中文化にも造詣が深く、在日中国人のキャリア事情に精通。日中の新聞、雑誌に執筆、講演、座談会などマルチに活動中。


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