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「何かあるに、ちがいない」疑心が疑心を呼ぶ!~「陰謀論」副島隆彦著(幻冬舎新書)
書評・レビュー
2013年1月 7日 10:01

 この書評を書いている今は、2013年1月5日である。人類は無事新しい年を迎えることができた。読者の少なからずは、マヤ歴で区切りを迎えた昨年の12月23日で人類は滅亡する"世界終末の日"を信じていたことと思う。筆者もその一人である。古くは、ノストラダムスの大予言、ファティマの予言等を信じて"ドキドキ"してしまっていた。これは、何故なのだろうか。

 著者は副島国家戦略研究所(SNSI)主宰、日本人初の「民間人の国家戦略家」として、鋭い洞察と緻密な分析に基づいた論評を展開している。昨年は、陰謀論の類の本が多数出版された。その中でも一番現実的で面白い。

 副島氏を陰謀論者と考える読者は多いと思うが、著者はその言葉そのものを認めず「権力者共同謀議」(CONSPIRACY)と言い換えるべきだと主張する。本書では、宇宙人、UFOや爬虫類人等の話は除かれている。ユダヤ人やロックフェラー、ロスチャイルドなど、実在して巨大な金融や財力を持っていることがほぼはっきりしている人々の陰謀を中心に書かれている。

 副島氏の他に、陰謀論者と言われている人は多い。そこで、著者は偽物と本物を二つに分けている。

 偽物「真実の言論を撹乱することを目的とする愚かな陰謀論者」:宇野正美、ベンジャミン・フルフォード、デーヴィッド・アイク、太田竜(地球原人を支配、英王室を含む現在の秘密結社の正体はレプティリアン<爬虫類人>と主張)
 中丸薫(明治天皇の孫を自称、2012年にはアセンション<惑星地球の次元上昇>起こる説を船井幸雄と展開)

 本物「世界を支配している権力者たちの動きを読み解こうとする優れた共同謀議(有る) 論者」:アントニー・サットン、エズラ・バウンド、キャロル・キグレー等5人に著者が加わる。

 民主党の前財務大臣安住淳(「見るからに小物の、どうしてこういう人が財務大臣なのかというバカそうな小男」)と大蔵官僚上がりの前経済財政担当大臣古川元久の二人で、円高阻止、金融緩和と称して米国債を1,000兆円(12兆ドル)以上買わされている。これは、米国への貢物なので返してもらえない。世界中で日本は「アメリカの財布」と笑われているが、多くの国民は知らされていない。新聞は真実を一切書かない。陰謀とは、このような巨大な悪人たちが現にやっている世界支配の極めて悪質なやり方を言うのだ。

 世界支配や経済支配の共同謀議の例として、「ビルダーバーグ会議」、「ダボス会議」、「日米欧三極委員会」、「CFR(外交問題評議会)」、「WJC(世界ユダヤ人会議)」等についても詳しく解説されている。面白いのは、「アポロ計画陰謀論」についてかなりページを割き持論を展開していることだ。よく言われることだが「実際には月に到着しておらず、月面上からの中継画像は地球上の特撮スタジオで撮影されたものである」と断言している。

 3.11以降は多くの国民が知ることになったが、今年も日本の大メディア(大新聞、大手出版社、テレビ局)は、国民の生活にとって本当に大切な報道は一切しない、できない。昨年末には、笑いごとではない「IPS細胞」の森口某と「中国で一番有名な日本人」の加藤某のウソが明るみに出た。記者クラブだけの責任でなく、記者自体の意識、知識、見識とも鈍化してきていることの表れだ。
 年頭にあたり賢明な読者諸君に申し上げたい。ぜひ、ご自身の心眼を磨き、真贋をご自身で判断されたい。

<プロフィール>
三好 老師 (みよしろうし)
 ジャーナリスト、コラムニスト。専門は、社会人教育、学校教育問題。日中文化にも造詣が深く、在日中国人のキャリア事情に精通。日中の新聞、雑誌に執筆、講演、座談会などマルチに活動中。


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