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羅針盤なき事業承継~それぞれの"千鳥屋"の行く末は(1)
流通
2013年8月 7日 11:43

 「千鳥饅頭」、「チロリアン」など福岡を代表するお菓子を手掛ける"千鳥屋"。土産菓子屋として一時代を築いたが、親族たちは遺産相続のトラブルを抱え、それぞれの道に進んだ。時は流れ、世代交代により若返りが進むそれぞれの"千鳥屋"の問題を追った。

<複数ある千鳥屋 気づく消費者は稀>
 "千鳥屋"という法人は複数あるが、意外と人々には知られていない。「"千鳥屋"の本社はどこにあるかご存知ですか?」と福岡市在住者に尋ねてみると、「福岡でしょう」と答えた。しかし、同じ質問を飯塚市在住者にすると、「飯塚でしょう」と話す。どちらの答えも正解で、同じ質問で2つの答えが出たのは、それぞれの場所に別法人が存在するからである。
 福岡市在住者が話す"千鳥屋"は、(株)千鳥饅頭総本舗(以下、総本舗)のこと。登記上の本社は、博多区呉服町に存在する。飯塚市在住者が話す"千鳥屋"は、(有)千鳥屋本家(以下、本家)。登記上の本社は、飯塚市の本店所在地の本店にある。その他、大阪(兵庫)には(株)千鳥屋宗家、東京には千鳥屋総本家(株)が存在する。
 それぞれ、菓子や店舗イメージも酷似しているために、別法人が運営していると気づかないケースが圧倒的に多い。1つの店にしか行かなければ、他企業が運営する店舗があることに気付かないので比べることもないのだ。

<子どもたちはそれぞれで事業に従事>
千鳥饅頭 創業前に長崎にて、ポルトガル人からは丸ボーロ、スペイン人からはカステラなどを学んだ「千鳥屋」の原田家。1630(寛永7)年に現・佐賀市久保田町で創業。当時は「松月堂」の名称で、丸ボーロやカステラを専門につくっていた菓子屋だった。
 筑豊炭田で賑わっていた飯塚に目をつけ、1927年に飯塚松月堂の支店として「千鳥屋」を構えた。39年には佐賀の松月堂を閉め、飯塚の千鳥屋を千鳥屋本店とした。丸ボーロとカステラを元に考案された千鳥饅頭は、過酷な肉体労働で甘い物を必要とした炭鉱労働者に受け入れられた。
 49年には福岡へ進出を果たす。その後、62年にはオーストリアのチロル州に古くから伝わっていたロールクッキーをアレンジしてつくった「チロリアン」の発売を開始。千鳥饅頭に次ぐ看板商品となっている。

 54年に創業者の原田政雄氏が死去し、夫人の原田ツユ氏が事業を継承した。夫妻には5男3女の子供たちがいた。娘3人は福岡県内外の名家に嫁ぎ、子息5人のうち夭逝した4男以外は事業に従事。長男・良康氏は、64年に進出した東京を担当、現在の千鳥屋総本家(株)となっている。三男・太七郎氏は、73年に開設した大阪を受け持ち、現在の(株)千鳥屋宗家となる。次男の光博氏と五男の利一郎氏が福岡に残った。光博氏の法人が現在福岡の千鳥饅頭総本舗、利一郎氏が手掛けたのが、現在飯塚の千鳥屋本家となっている。

(つづく)
【柚木 聡美】

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